北九州市「住宅リフォーム助成制度」

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住宅リフォーム助成制度
1)住宅リフォーム助成制度導入の経緯
 北九州市における住宅リフォーム助成制度は環境未来都市として認定され、2012年度から「環境」推進事業としてのエコリフォームに加えて「超高齢化」に対応出来るバリヤフリー化リフォームの助成制度を始めることで、良質な住宅ストックの形成を促進することとして始められた。

2)事業の対象
 助成事業の対象は市内にある住宅を所有する者で、補助対象事業となるリフォーム工事を実施する者となっている。対象者は住宅の所有者であり、住んでいなくてもよい。また、所有者の親族も対象であり、同居していなくてもよい。賃貸住宅の借家人については現在検討中ということである。事業対象者の幅を広げている目的は、良好な住宅ストックを進めることで定住化を進めることにある。
 また、助成額上限内であれば複数回申請が出来る。申請については台帳を作り管理している。

3)助成対象工事および助成額 助成対象工事については2012年度、2013年度は基本工事+プラス工事という二階建てであったが、2014年度からは1階建てにし、助成額も基本工事(上限30万円)+プラス工事(上限30万円)=上限額60万円としていたものを上限額30万円としている。助成対象工事を一本化することでわかりやすくし、助成金額を下げることで助成対象者数を拡大することとしている。2年間の実績では年間約1300件の応募、1件平均15万円程度となっている。

①2012年度、2013年度の対象事業
 基本工事
  エコきほん:窓、外壁、屋根、天井、床の断熱改修
  高齢化対応きほん:手すり、出入り口の拡張、建具改良、屋内段差解消、トイレ改良、           浴室改良、ホームエレベーター設置など
           ただし、介護保険対応のものは除く
 プラス基本
  エコぷらす:効率給湯器、LED証明、高断熱浴槽、節水型便器、省エネ型エアコン、        雨水タンク、HEMS、断熱付随工事など、
        LED照明や省エネ型エアコンなどは普及しているので2014年度か        ら対象から外す
 高齢化対応ぷらす:温水式床暖房、レバー・ハンドル、スイッチ改良、足下照明、
          高齢化対応付随工事
 遮熱ぷらす:遮熱塗装、窓庇設置、遮熱硝子、
 防犯・防災ぷらす:窓周りとしてシャッター、雨戸設置、窓格子設置、防犯ガラス、防          犯錠交換、安全型コンロ、カメラ付きインターフォン
②助成額は国のエコポイント制度に倣い定額とし、標準的公示価格を基準に1/6で設 定している。

③事業費
 事業予算は各年度2億円としており、事務費に1千万円、助成事業に1億9千万円としている。事務費についてはNPO法人北九州健やか住宅推進協議会に受け付け窓口事務と審査業務を委託。毎年公募・入札しているが、確認審査会社などの応募はない。市では助成金交付等に2名の職員を配置している。

4)助成要件
 施行事業者は北九州市内の事業者、または市内に支店ないし営業所がある事業者となっている。地場事業者の育成を目的としている。

5)助成実績
 助成募集は6月~8月、10月から予算消化時までの2期で募集。2期に分けている理由は、交付手続きの時間が必要と言うことと、先着順と言うことで公平さを確保するためとしている。
2012年度実績
 1期 632件8621万円  2期629件 1億1043万円
2013年度実績もほぼ予算通りの見込み
 2012年度は事後申請であったため、33件(450万円)の申込みが受付できなかったため、この分は2013年度1期申請として認め、2013年度からは事前申請制度に変えてている。1期での実施後の余りは2期に繰り入れて助成することでほぼ予算通りとなっている。

6)事業効果
 1億9千万円の助成に対して施工額は約33億円、17倍の経済波及効果がある。

所見
 北九州市の住宅リフォーム助成制度は対象者、対象事業とも幅広く、市民にとって利用しやすいものとなっている。環境対策推進と高齢化対策推進と、地域経済への波及効果も十分出されていると考えられる。また、良質な住宅ストックを増やすことで生活の質の向上と定住促進の側面がある。福岡市として学ぶべきものがある。
 今回北九州市の調査では助成総額が少ないことは課題と感じた。また、いつまで継続するのかについても課題が残る。福岡市について考えると、地域経済の活性化という点から企業立地交付金よりも有効な政策と言える。