2月補正予算・3月議会新年度予算

Pocket

 2月議会は政府の緊急経済対策による補正予算でした。国はバラマキ批判をかわすために緊急経済対策の対象を防災・減災、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化としています。福岡市は公園等整備事業84億8千万円、道路整備事業47億4千万円、校舎等大規模改造事業31億8千万円、 公共下水道整備事業15億3千万円など従来の事業を前倒しで実施する補正予算を組みました。2013年度予算において、一般会計歳入は7596億円余、前年度66億円余の減少、その主なものは市税収45円余増、市たばこ税17億円余増、財政調整基金取崩35億円増となっており、他方地方交付税44億円の減と臨時財政対策債起債40億円削減、諸収入94億円の減などとなっています。2月補正予算と新年度予算14ヶ月で見ると、国の緊急経済対策による交付金分だけが増えるようにしています。福岡市の事業全体としては新たな事業を行うのではなく、計画している事業を玉突きで前にずらすことで、事業の進捗を早めると同時に、起債を押さえる計画となっています。結果的には雇用対策にはそれほど効果がないのが実態です。

 市税増は震災復興のための個人市民税の所得割増とたばこの値上げによる増収であり、実質的に今後とも市税収が増える情況ではありません。国においても国債発行残高は741兆円と財政健全化が求められる情況で厳しい財政状況が続きます。歳出を見ると扶助費は71億円余と増加しており、今後とも増え続けるものと思われます。また、道路・橋梁、上下水道や公共施設などの維持管理、建て替えに将来にわたり多額の費用が必要とされています。他方、待機児童の解消に向けた保育施設の充実や、高齢者福祉施設の充実、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、学校司書などの専門職職員や教員などの増員、障がい者支援の強化など市民生活に必要な支出が求められています。

 今後とも歳入が増える情況にない中で、私は今回の財政運営の考え方には基本的に賛同するものです。問題は行財政改革のあり方です。昨年12月に示した「財政健全化に向けた改革実行検討項目」101項目では、業務の外注化を進め、高齢者や障害者の支援を削減する、しかし人工島事業や五ヶ山ダム建設などは見直しません。厳しい財政状況で「選択と集中」は必要ですが、そのあり方が根本的に間違っています。

 いま福岡市に求められているのは地方自治の本旨に則り、市民の福祉を充実させるという公の責任を果たすことです。市民生活の基盤を強化することがまず第一になされなければなりません。歴史、文化、自然を生かす街づくりを進め、教育や福祉を充実させ文化を育てることで、市民が福岡市の良さを実感できる施策です。そこから人の交流が始まり、地域で循環する経済を生み出すことが出来ます。文化を育むために九州交響楽団などを支援強化する、子ども可能性を育むために教員の増員や読書環境を充実させる、いじめや貧困をなくすために専門職員を増やす、安心して子どもを産み育てることが出来る環境を整備することです。この様な視点から私は2013年度予算に反対しました。

**********************************

2013年予算特別委員会意見開陳

 私は本条例予算特別委員会において上程された諸議案の内、議案第31号ないし34号、37号、38号、43号、44号、46号ないし48号、50号、52号、84号、90号、94号、95号に反対して意見開陳をします。

 昨年、行財政改革として「財政健全化に向けた改革実行検討項目」101項目が示されました。行財政改革の視点として「ビルトアンドスクラップ」と「局・区の自律経営」が柱とされています。各区・局で重点政策を決め、必要度の低い政策はやめるというものですが、改革検討項目に示されたものは「市民の生活の質の向上と都市の成長の好循環」としていることとは大きな乖離をなすものとなっています。2013年度予算では市民生活や福岡市の文化や教育への支出を削減し、相変わらずの開発優先の政策が打ち出されています。
 安倍政権が誕生し、新自由主義経済へ揺り戻しが始まり、TPP参加表明、原発再稼働の動き、辺野古埋立申請など、国民の声を無視し、大企業優先の政策を推し進めようとしています。地方自治体の本旨に則り市民の福祉実現に一層の力が注がれなければならない情況です。そのことから、重点施策として市民生活の質の向上に資する政策がなされなければなりません。予算審査において多くの指摘がなされているように、待機児童の解消に向けた保育施設の充実や、高齢者福祉施設の充実、いじめをなくすためにスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、学校司書などの専門職員や教員の増員など市民生活に支出が求められています。しかし、2013年度予算は子ども政策に重点多くとしながら、従来進めてきた大型開発事業に重点的に支出しています。破綻が明らかな人工島事事業、必要が無い五ヶ山ダム建設、過剰施設であるにも拘わらず新たな南部清掃工場を建設、九電に奉仕し市民負担を掛けるクリーンエナジー、市民の声を無視してこども病院を建設、採算性の見通しのない地下鉄七隈線延伸計画などには見直しをしないまま従来通りに支出しています。この様な予算は認められません。
 市長はアジアのリーダー都市を目指し都市の成長を求めていますが、福岡市への一極集中は水、交通、環境、財政を破綻させます。安倍政権で一時的に経済浮上の兆しが見えても、1000兆円を超える国の借金の壁にぶつかります。金融に乗っ取られた世界経済は不安定であり、日本経済も不安定な状況が続きます。弱肉強食を進める新自由主義経済は格差を広げ国民生活を痛めつけます。経済成長がなくても市民誰もが安心して暮らせる持続可能な社会を作るためには、共助の社会づくりであり、市民生活の基盤づくりです。そのためには、都市膨張政策ではなく、社会環境・自然環境に見合う都市の成長管理を行う必要があります。自然を保全し一次産業を育成する、教育、福祉、文化を豊かにするための投資をしなければなりません。そこに地域で循環する経済を作り、雇用の場を作ります。都市の魅力を市民が実感できてこそ人の交流が深まります。福岡市が進める行財政改革における選択と集中は誤っています。
 市民の生活の質を向上させる基本的なことは玄海原発廃炉に向けた取り組みです。福島原発事故の状況を見れば、一旦過酷事故が起これば玄海原発から40キロから60キロにある福岡市は死の街になります。原発事故原因は地震津波だけでなく人為的なミスや航空機墜落など多様にあります。そもそも人間が原子力を制御することはできません。ヨウ素剤の全市民分の備蓄や避難対策などは必要ですが、市民の安全確保には玄海原発の廃炉しかありません。福岡市として玄海原発廃炉に取り組むことを強く求めます。
 最後に、指定管理者の指定について申し述べます。経費節減のために施設管理・運営を指定管理者に移行させていますが、監査報告を見ると多くの問題が浮かび上がっています。監査では、受託事業者が契約を履行していない事例、また担当部局がガイドラインを遵守していない事例が多く指摘されています。これは担当部局が適正にモニタリングをしてないこと、また受託者が安く落札するために契約通りの人員を配置しない、会計処理を自社管理のものと一括して行う、などが見えてきます。日本管財の事例を見れば、担当部局がキチンとチェックするれば分かることであり、杜撰な管理なあり方に問題があります。そもそもガイドラインを遵守していないと指摘されていることは問題です。全体を統括して把握されておらず、各局任せになっています。これでは管理費を安くするために事業者に丸投げと言われてもしかたありません。また利用者の声がアンケートだけになっており、利用者の声が反映できているとは言えません。公募の利用者を入れた第三者委員会でキチンと評価をし、次の契約に生かす仕組みを作るべきです。
 地方自治法では、「施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるとき」に指定管理者を指定することが出来るとしています。監査の指摘を見ると経費削減策として指定管理者を導入し、設置している施設の目的達成に「効果的」、これは効率的だけではありません、であるかとの検証がなされているとは言えません。指定管理者の指定のあり方について検証が必要です。
 行財政改革において、千早に予定されている図書館分館は指定管理者指定が検討されています。図書館という目的からすると、指定管理者指定が「効果的に」目的を達することが出来るとは考えられません。市民生活の質の向上を目指すために、読書環境整備にもっと予算を付け、図書館において指定管理者の検討をやめることを求めて意見開陳を終わります。