地方分権が進む・市民力の時代に

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 2012年度は「地方主権改革」による地方自治法の改正等、地方自治体への権限の委譲がなされ、それに伴い福岡市では47の条例の新規策定及び改正されました。特に地方分権が進み団体時が進みましたが、住民自治の仕組みづくりがこれからの課題となります。自治体で保育所の設置基準を決めることが出来るなど、自治体の権限が強まるとともに自治体間の格差が更に大きくなります。これからは市民力が問われます。市民の声が反映できる仕組み、具体的には審議会に公募の市民を入れる、議会において市民が意見を述べることが出来る参考人制度や意見陳述の制度、議会での公聴会設置など制度改革が必要です。先日千穂自治tの現状と議会の役割に関する学習会に参加しました。以下報告です。

1、地方分権改革による自治体の権限強化と議会の役割
 平成11年に「地方分権の推進を図るための関係法律の世尾灯に関する法律」(地方分権一括法)が成立、地方自治法が大改正された。(475本の法律改正)機関委任事務が廃止され国と地方の役割分担が明記され、国と地方の紛争処理に関する諸規定がなされた。国と地方の上下関係が無くなり、対等協力間になった。
 その後、平成23年4月28日「地方分権改革」関連3法案が成立。「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」により「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」が図られ、「国と地方の協議の場に関する法律」によってこれまで総務省を通じて内閣に政策の提言を行っていた従来の方式から、自治体の代表も参画する協議の場が作られるようになった。「地方自治法の一部を改正する法律」で議員定数の上限の撤廃、議決事件の範囲の拡大、義務づけの撤廃、直接請求制度の改正などが行われた。
 平成23年8月26日成立「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」により、基礎自治体への権限委譲(都道府県の権限を市町村に委譲 47法律改正)、義務づけ・枠付けの見直しと条例制定権の拡大(160法律改正)がなされた。
 平成24年9月5日公布「地方自治法の一部を改正する法律」により、議会制度の見直しとして①通年議会が出来る、②議長による臨時議会招集権の付与、③議会運営に関する整備、議会と長との関係として①再議制度の拡大、②副知事・副市町村長の先決処分からの対象除外、③条例公布の手続きの整理(成立後20日以内に公布)、直接請求の署名数の緩和、国からの是正要求に対する自治体側の不作為に対する国からの違法確認訴訟を提起できる制度、一般事務組合・広域連合において、①共同設置からの脱退の簡素化、②広域連合の執行機関として長に替え理事会を置くことが出来るなどとなった。
 この井連の法改正により、地方自治体の法令解釈権が拡大し、地方議会の権限の大幅拡大に伴い議会の責任がより重くなった。明治以降続いた国の縛りであった①通達主義、②行政実例主義、③準則条例主義が廃止された。法律の解釈権が広がり、地方自治の本旨に基づき解釈をし、地域の実情に応じて条例制定が出来るようになった。
 条例制定権についてはこれまで憲法92条「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」を基に国の先占権が主張されてきたが、地方分権改革の中で憲法94条「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することが出来る」もとに、地方自治体は国とは独立して行政権を有するものという解釈がなされ、参議院法制局及び衆議院法制局はこの見解を認めている。条例制定については「地方自治法14条1項法律違反しない限りにおいて」と条例に合理性があるかが問われ、法律と条令の規範の定職の有無が問題となる。その判断として、①役割分担の原則、②立法原則、③法令解釈運用原則、④自治事務処理に対する配慮原則が重要である。具体的には、地方自治の本旨に基づく合理性と、条例の対象が法律の対象と重複しないことである。
 権限が地方に移譲され、条例制定権が拡大され、今後ますます自治体の条例解釈能力と議会の立法・監視等能力が重要となってくる。この様な流れの中で全国の自治体では議会基本条例や自治基本条例が作られてきた。

2、議会と政策法務
 地方分権改革の進捗とともに議会の能力強化と住民への「見え化」かが求められてきた。議会改革として議会基本条例が作られ、本会議の一括質問から一問一答方式へ、執行部の反問権の付与など議会運営の改革が図られた。また議会内閣制や議員の副市長就任などの議論がなされているが、二元代表制の中で議会が執行部の指揮下に入る問題が指摘されている。
 住民の議会不振として議員定数の削減や議員報酬の削減が上がっているが、地方分権が進む中で地方自治体の権限が拡大している状況を住民に伝え、議員の専門性、住民の意思の反映するために必要な議員定数について理解を求める必要がある。地方分権が進み地方自治体の立法権、行政権が強まる中で、議会は団体の意思決定に関す審査・監視、条例制定など専門性が高まっている。
 議会として条例審査、政策立案・条例化など政策法務の知識が求められており、議会として政策法務を補佐する法科大学院卒者などを採用することも必要ではと提案があった。政策法務は政策を①条例化する立法法務、②条令と法律の関係を整理する解釈運用法、③条例制定後の係争に対応するための係争・評価法務とされている。
 

3、住民投票について
 団体自治が進められてきたが、次の段階である住民自治が課題となっている。総務省としては二元代表制を補完するものとして直接請求の制度の拡充を図るとしてきたが、地方6団体は議会民主主義を大きく変質させると反対している。総務省は法律の説明として大規模公共事業などを対象にしていると説明しているが、全国自治会はなぜ大規模公共工事が対象となり、他の事案が外されているのか考え方が示されていないと反発している。今回の自治法改正では直接請求の署名については実感の緩和がなされたが、結果について拘束力を持つことの定めは外された。
 住民投票については既に条例化している地方自治体がある。条例にのに用は事案ごとに住民投票条例を策定するものと、一定数の住民(必ずしも有権者ではない)の署名を得ると議会に諮らずに住民投票を実施するものとがある。また、住民投票の結果については「尊重する」という諮問型のものと、結果について執行部に実施の義務が求められる拘束型がある。
 住民投票の結果について拘束力を持たないとの主張の根拠は憲法上で憲法改正と特定地位に適用する法律のみ住民投票が出来るとしているが、地方分権がなされ、憲法92条及び94条において地方自治体は国とは独自の行政権・立法権を有しており、拘束力を持つ条例を定めることが出来るという説が有力になっている。住民投票は熟議を基本とする実酒祝儀を否定し、十分理解がないまま投票することは問題があるという説があるが、これは住民を馬鹿にし、選挙制度そのもを否定することにつながる。

4、政策法務と自治立法
 分権改革後、自治体で処理している事務について条例制定が可能か否かを判断する上で、「法理に反しない限り」と「条例に合理性があるか」が問われることになった。「条例に合理性があるか」については地方自治の本旨に基づいたものであるとともに、条例化するに当たり事実調査がキチンと行われているかが重要になる。地域の状況に合わせて上乗せ、横出し、裾きりの条例制定が出来る。政策法務と対象事務について除宇蓮かが必要な事実調査常用である。

まとめ
 地方分権が進み、地方時散った伊賀地方自治の本旨に基づき独自に行政・立法が出来るようになった状況を確認した。議会としての監視、政策立案・立法に関する納涼が求められており、政策法務に関する致死の研鑽の必要性を受け止めた。同時に市民との対話が必要であること、また団体自治が進み今後の課題は住民自治を進めることにあると感じた。