人工島移転はあり得ない!
3月20日第5回調査委員会及び第6回調査委員会をまとめて報告します。
第5回委員会では移転場所の検討でした。九大病院内移転について、福岡市が九大総長に可能性を打診したことでした。回答はこれまで通り既に計画があるので移転は出来ないというものでした。わずか2日で回答を求め、しかも後期試験の最中を考えればこのような回答にならざるを得ないと感じました。福岡市の意図を感じます。総長の回答には箱崎キャンパスならば売却しても良いという意向が示されていたので、移転先に加えるか否かが検討されました。委員会として市長に判断をゆだねることとし、市長は加えることを認める回答をしました。
また、東日本大震災による液状化や津波の被害から、人工島はまず除外すべきという意見が出されました。それについては、市はこれまでの津波の記録からたいした被害がないこと、もし今回の大震災のような津波が来れば市内は全て同じような被害を受けるとし、液状化についても地盤改良しているので問題はないとしています。福岡市は福岡西方沖地震の際にも地盤改良した照り葉地区は液状化が起こっていないとしていますが、国土地理院の航空写真による調査では全体的に液状化しているものがホームページに掲載されています。
4月17日第6回委員会では、まず東日本大震災の被災地にある宮城県立こども病院委員長の林委員から報告がありました。プロジェクターで現地の状況を説明しました。石巻市立病院は海岸近くにあり大きな被害を受けていますが、こども病院は海岸から20kmはなれており免震構造であったのでほとんど被害を受けていません。災害を想定してライフラインの確保も組み入れていたとのことで、水道や不十分ながらガスの確保など復旧まで持ちこたえたとのことでした。林委員は、こども病院の移転先は津波を考えると出来るだけ海岸から離れ、免震構造にするためには地盤がしっかりしたところのすべきとしています。これを考えると、人工島移転はああり得ません。
こども病院の移転に関する病院経営上の観点から、初期投資の問題として地価が安いことが求められていました。ところが、地価の問題だけでなく移転先による患者の動向が病院経営上大きな問題ではないかという指摘がなされました。この委員会で委員の質問に対する市の回答は、来院患者数の根拠について積算の根拠に現在の患者がそのまま人工島に移転しても来るとし、診療科目が増えベット数が増えるので患者数は増えると説明しています。ところが、こども病院の患者は2次医療、3次医療を担っており、市内の開業医の紹介できている患者が主であるにもかかわらず市内の開業に意見を聞いたことはなく、患者にも意見を聞いておらず、基礎的な患者動向の調査がなされていません。これで収支計画が作れるはずがありません。
こども病院移転後の西部地区の医療体制については充実の方向になっているとして、小児科の開業が増えていることやベット数が増えていることが挙げられました。しかし、開業医の委員から新生児小児科と一般小児科は異なり、増えているのは新生児小児科であり単純にベット数増だけでは実態を現していないと指摘がありました。また東部地区では国立東病院が小児科を充実させ、東区や糟屋郡など東部地区の小児2次医療を充実させていることが指摘されています。医療バランスを考える上で考量すべきと意見が出されています。
交通アクセスについて、既に道路整備が進んでいるところもあり、平成19年の検証検討当時とは大きく状況が変わっていることの指摘間ありました。
これまでのまとめ
1、福岡市が現地建て替えは高くつくという根拠はない
市民にウソの説明をしてきた
2、九大病院建て替えの経験から、福岡市が主張するような3.5㌶の広さは必要ない
3、こども病院は地域医療軸に場所を選定すべき
こども病院は地域医療が半分、高度医療が半分。高度医療を受ける患者は紹介で全国から来るので
交通アクセスは問題にならないが、救急医療を担う地域医療は場所が問われる。
4、東日本大震災の教訓から人工島はあり得ない
宮城県立こども病院の事例から、海岸から出来るだけ遠く、地盤が安定した場所にすべき。
5、患者家族の意見や市内開業医の意見をキチンと聞いていない
6、病院経営の収支計画がいい加減
病院経営基礎となる患者動向の調査がなされていない。患者・家族や市内開業医の意見を聞いてお
らず、根拠がない。