環境共生のまちづくり・クロツラヘラサギのいる風景とそのデザイン
去る9月17日、「あいれふ」で開催されたシンポジウムでは、カルフォルニア大学ランドルフ・へスター教授とマーシャ・マクナリー教授が台湾台南県チグでのクロツラヘラサギ飛来地の保全と地域振興のこれまでの経過について報告がされました。このシンポジウムのポイントは環境保全と地域振興は両立できると言うことです。福岡市の人工島も視察されたと言うことですが、人工島が和白干潟への海流の流れを弱くし、干潟が曝気できない状況を指摘、危機的状況を危惧されているようです。
台南県チグではクロツラヘラサギの生息地に化学工場建設計画が進められていました。地元住民の反対運動が起こりり、漁民や地域住民、学者など様々な立場の人のパートナーシップが出来、大きな力になったということです。とくに漁民の方は1万6千人が参加し、大きな力になったということです。専門家の学者と現地をよく知っている漁民との連携が、地元政府が行ったアセスに対しても明確な反論の紺強をつくることが出来たと言うことです。化学工場は別途誘致されたと言うことです。
この運動が大きく前進したもう一つの背景には、地元住民の中から強力な指導者が出て、その方が地方議会の議員となり、知事となることで具体的な保全が出来たと言うことです。このことに関連して、今回の市長選挙の争点になることをい対する意見がありました。クロツラヘラサギを保護して地域の資源として活用することが、化学工場誘致よりも地域に利益があることを示し、説得できたと言うことです。開発問題が起こったときには代案を提示することが必要だと意見を述べています。
台南県チグではクロツラヘラサギの飛来地を保全することで、エコツーリズムの拠点となり、毎年380万人が訪れている問い事です。この数字はクロツラヘラサギを見に来る人たちの数字ですが、来る人たちはバードウォッチング、干潟の観察や地元の漁業体験などの自然体験を求めてきている人たちでもあるということです。元々台湾では寺院が多く観光施設としてこれまでも旅行者が来ていましたが、イグの漁民がカキの養殖などしていることもあり新鮮でおいしい魚介類の料理を食べにも来ます。クロツラヘラサギの保全だけでなく、地域全体の中で考える必要があるということです。
勧告は北朝鮮との国境を挟んでに繁殖地があり、重要な場所と言うことです。しかし、韓国でも開発が進み、クロツラヘラサギの生息地は狭められていると言うことです。仁川市ソドンでのグリーンシティ埋立事業においての事例が報告されました。クロツラヘラサギは種を維持するため、生息地が埋め立てられると環境がよくなくても住みつきます。ソンドでは汚水が流れ込む狭い河口の島に生息していると言うことでした。台湾チグの経験から、病気による大量死を防ぐにはクロツラヘラサギは最低500m四方の場所が必要、4~20センチの浅瀬でえさをとると言うことです。現在福岡市が計画している人工島の野鳥公園は8ヘクタール、最低必要な25ヘクタールにはとうてい及びません。さらに、人との関係は50m以上の距離を保つことが必要ということであり、福岡市の計画は全く話になりません。
福岡市が元気な街になるためには、人工島事業を抜本的に見直し、街づくり全体を俯瞰してクロツラヘラサギの保護と活用を計画する必要があります。