先日の政府の事業仕分けにおいて、航空需要予測をしてきた運輸政策研究機構に、国土交通省の航空行政を担当する職員12名が在籍していたことが判明しました。しかも、運輸政策研究機構が調査過程で使うデーターを選ぶ際、国に相談していることが事業仕分けで答弁されました。発注者である国の意向を受けて需要予測をしていたのです。国が意図的に数字を操作し、空港建設を進め、多大な無駄遣いをしてきたことは明らかです。
国土交通省OBであり、運輸政策研究機構の羽生会長は「予測の間違いは発注者の意図をどうしてもおもんばかってしまうところにある。委託事業は注文建築と同じだ。こういう結果を出せとまで言われないが、大きな事業ほど地元業者などの期待感も大きい。これを背中に感じつつ、これに反する結果を出すことには相当に強い意志が必要。実際はなかなか…」と東京新聞のインタビューに答えています。まさに発注者の期待に応えて数字がつくられてきたことが窺えます。
これまでも運輸政策研究機構が行ってきた需要予測は福岡市営地下鉄七隈線に見られるように大きくはずれてきました。新福岡空港に関するPIにおいても需要予測が実態と乖離していることを指摘してきたにもかかわらず、増設案においても同じような需要予測を繰り返し行っています。福岡空港はこの10年間の離発着数及び利用者数は頭打ち、むしろ減少に転じています。特にリーマンショック以来の世界同時不況に夜打撃、更に日航の破綻による路線の削減と、減少することはあっても増えることは考えられません。高齢化と人口減少が進む状況を見ればなおさらです。
そもそもトータルな交通政策がないまま、地域の利権に振り回された来たことが問題です。環境問題を考えれば航空需要は抑制すべきであり、また資源エネルギー問題・オイルピークが来ていることを考えれば、もはや右肩上がりの経済を前提とした需要予測はあり得ません。つくられた数字を基に福岡空港増設することはまさに犯罪です。2000億円もの税金を無駄遣いする福岡空港増設は必要ありません。同時に、ムダな空港をつくらせないために、空港特別会計は廃止すべきです。