安全根拠どこにもない
福岡市は11月19日に10月5日に市5工区(旧博多港開発第2工区)の土壌検査をした結果を公表しました。検査場所は小中学校に隣接する場所です。(下図参照)4箇所の内小中学校に最も近い地点でヒ素が基準の4.9倍が検出されています。これについて土壌調査専門委員会は北部九州行きの一般土壌と変わらないので問題ないと言っていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。
その祖もこの人工島埋立の土砂は公共残土が使用されています。特に問題となった博多港開発第1工区、第2工区の土壌は、2006年既に搬入時にヒ素と鉛が土壌汚染対策法の基準を超えているものが搬入されていることが問題になりました。福岡市は埋立地なので海洋汚染防止法に基づいて搬入しており、海洋汚染防止法の基準にあっているので問題と言ってきました。土壌汚染対策法は人為的に汚染されたところからの搬入を禁止しているのであって、人工島に搬入した土壌は自然に由来するので問題なとしています。土壌汚染対策法が作られた趣旨は工場等の施設による汚染により、不特定多数の人が利用することによる人体への影響を除去するためのものです。しかし、自然由来のものと人為的なものと毒性に違いがあるのでしょうか。自然由来だから安全と説明する土壌調査専門委員会の方たちの科学者としてその良心を疑います。
ヒ素はいろんな形で自然界にあり微量元素として人体には必要ですが、摂取のかたちによって様々な毒性を出します。昭和30年に森永砒素中毒事件が起こっています。約1万3千人の赤ちゃんが死亡し多数の被害者が後遺症で苦しめられました。私は長期にわたり被害者を支援してきましたが、その後遺症は様々でした。典型的なものは皮膚に色素沈着、神経系に蓄積し脳性麻痺のような障碍、それ以外の不定愁訴といわれる外見では異常がなくても疲れやすい、病気にかかりやすい、虚弱体質など、病気とは判断できない後遺症もあります。
病でも埃のなどで長期に摂取し続けるとどのような影響ができるか判らないというのが事実ではないでしょうか。人工島でヒ素や鉛が検出された場所は不特定多数の住民が生活しています。とりわけ乳幼児、胎児に対する影響は大人と違いより慎重にしなければなりません。人為的なものではないか安全という考えは、世界の常識である「慎重なる回避」という考えから大きく後退するものです。どう調査専門委員会は安全性に対する常識がないとしか言いようがありません。今回ヒ素が検出された場所が小中学校に隣接した場所であればなおさらです。再度詳しい調査を行い、土壌入れかをする責任が博多港開発にはあります。このような市民の生命の安全を軽視する発想がこども病院人工島移転にも繋がっています。