福岡市のゼネンコン三社のヒアリングメモおよび資料の破棄、検証検討チームの会議録破棄の居直り答弁が許されるのか
先日8月21日(金)に情報公開請求不開示の市の答弁に関しての反論書を情報公開審査会に提出しました。論点は①現地建て替え費用85.5億円の見積額を市民に説明する資料には128.3億円とした根拠となるゼネコン三社へのヒアリングのメモおよび資料、②水増し計算の資料、③水増しを決定した2007年7月26日開催された検証検討チームの会議録の要旨の基になったメモおよび資料の開示について、破棄し不存在として居直っていることです。①については私たちは福岡地検に「公用文書等毀棄罪」として市長他3名を刑事告発し、福岡地検はこれを受理捜査をしています。先日6月にはつる川副市長および職員2名が福岡地検の事情聴取を受けています。今回の情報公開審査会への不服申請の手続きは、情報公開制度の趣旨である市民の知る権利が保障されているのかを問う闘いです。ケヤキ庭石事件では市職員が警察の家宅捜査が行われる直前に大量に書類を破棄し隠蔽工作をしました。この隠蔽体質が変わっていないことが今回の情報公開請求の中で改めて明らかとなりました。証拠を隠滅し、市民への説明責任を逃れようとする福岡市の姿勢が糾弾されなければなりません。
福岡市公文書の管理に関する規則では以下のように書かれたあります。
第2条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 公文書 職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって,職員が組織的に用いるものとして,本市が保有しているものをいう。
この規則を見ても①、②、③はいずれも公文書として管理すべきものであり、破棄することは市民に対する犯罪行為です。市長は昨年11月の「こども病院の人工島移転の是非を問う住民投票条例制定」の臨時議会で「これまで市民に十分説明してきたので住民投票は必要ない」と住民投票を否定しました。しかし、情報公開請求により市民に説明すべき文書や資料を破棄している事実が判明しています。市長は市民に説明してこなかっただけではなく、事実を隠してきたことが明かです。私たちは情報公開審査会に不服申請することで、福岡市の情報公開制度が機能しているのかを明らかにしたいと考えています。機能していないのであれば機能させるように制度を作り替えなければなりません。情報公開審査会がどのような答申を行い、市長がどう措置するのかを見極めたいと思います。
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2009年8月21日
福岡市情報公開審査会
会長 川副正敏様
異議申立人
脇 義重 印
福岡市東区奈多1-6-13
63歳
反論意見書
2009年7月7日付情公第204号で依頼のあった、反論意見書を提出します。
Ⅰ.諮問事件の表示 (市長の弁明意見書より抜粋転記)
「総企第383-2号(2009年2月25日)で公開された情報以外のもので、ローリング費用を42億8千万円とした「簡易的な試算」(市長回答2月9日総企第375号記載)書に関連した計算式や投入数値、図面など「簡易な試算」の根拠となった全ての書類」の公文書非公開決定処分に対する異議申立て
Ⅱ.福岡市長の弁明意見書(2009年7月1日 総企第57-1号)中「4.異議申立人の主張に対する福岡市の主張」への逐条反論
<市長の弁明1>
平成19年度に行った「市立病院統合移転事業の検証・検討」は、こども病院・感染症センターと市民病院の2つの市立病院を統合し、アイランドシティに新病院を創設するとした「新病院基本構想」(平成17年度策定)について、本市の財政状況、国の医療制度改革と自治体病院改革の動向、その後の医療環境の変化を踏まえ、本市にふさわしい市立病院のあり方について、ゼロから見直したものであった。
検証・検討にあたっては、医療の専門家3名の方にアドバイザーとして委嘱するとともに、様々分野の専門家の助言や意見をお伺いし、現実的かつ実効性のある検討を行なう方針であり、検証・検討報告書は、そうした方針に基づき、コンサルタント会社からの報告書だけではなく、幅広い方々のご意見を基に、検証・検討チームの判断で取りまとめを行った。
従って、こども病院・感染症センターの現地建替え費用の算出においても、コンサルタント会社からの報告書だけではなく、幅広い方々のご意見を基に、最終的には検証・検討チームの判断で報告書の取りまとめを行ったものである。
<異議申立人による弁明1への反論>
福岡市役所内部のチームによる「市立病院統合移転事業の検証・検討」はこども病院の人工島への移転を方向付け、市長も追認しました。これは市長の選挙公約「こども病院人工島移転を見直す」ことの重大な違反です。「見直す」とはこども病院人工島移転の白紙撤回のことでありそれ以外の解釈はありません。ここで見落としてならないのは、検証・検討チームが医師など医療担当者の意見を周到に聞くこともせず、せっかく寄せられた患者と家族そして市民の「見直しや反対の声」を切り捨てて「こども病院」の人工島移転の結論を出したことです。つまり、文中の「幅広い方々のご意見」の中には本来一番大切にすべき患者とその家族の見直し・反対の意見は含まれていないことです。したがって、「最終的には検証・検討チームの判断で報告書の取りまとめを行ったものである。」が故に、市民と多くの現場医師に歓迎されることない報告書となりました。その結果市長の責任を問う声が日増しに高まり、行政不信が渦巻くなか弁護士が独裁政治の打破、民主主義の回復を求めて移転反対論陣に加わり、日増しに運動が高まりを見せるにいたっているのです。
ことばを換えれば、市民が今回の公文書公開請求から異議申立を経て反論書を書き送る仕儀に立ち至った原因はあげて市長の市民無視の行政にあるということであり、市長が政治信頼回復を望むのであれば、公文書公開請求人=異議申立人の求めに応じて、請求された公文書公開を即時実施することが肝要です。
<市長の弁明2>
現在地建替え費用の算出においては、コンサルタント会社からの報告書と建設関係者からの口頭によるご意見(平成19年7月中旬から8月10日前後にかけて行った)をもとに事務局が「簡易な試算」を行い、その結果を第17回検証・検討チーム会議資料(平成19年7月27日開催)に反映させたものである。同会議において、事務局より「簡易な試算」の経緯について説明があり、議論が行なわれたが、特に異論がなかったため、同会議の議事要旨には掲載されていない。
<異議申立人による2への反論>
上記弁明を整理すると、①市長は事務局が「簡易な試算」を行った。②その試算の「もと」はコンサルタント会社報告書(以下、「報告書」)と建設関係者口頭意見である。③その結果を第17回検証・検討チーム会議資料に反映させたということです。
①と②から引き出せる結論は、異議申立人が公開請求している「簡易的な試算」書に関連した計算式や投入数値、図面など「簡易な試算」の根拠となった全ての書類(以下根拠書類)が「もと」として、コンサルタント会社及び建設関係者から示されたか、手渡されていたということです。この「もと」は、添付資料の2009年1月23日付読売新聞所収の「担当者は『再見積もりの文書はすべて破棄し、パソコンのデータも消去した』としている。」ところの文書でありデータなのです。従って、建設関係者からの「もと」は「口頭意見」に限定はされないのです。
また、③で市長は「反映させた」と弁明していますが、それは事実とは異なります。コンサルタント会社や建設関係者から取得した根拠書類を「もと」に第17回検証・検討チーム会議資料(以下、会議資料)に反映されていたなら、同会議資料が収められている「建替計画の概要」のローリング費用欄には仮設建物や設備切回しなどの項目ごとに費用が積算され記載されていたはずです。
したがって、①~③の全経過はコンサルタント会社と建設関係者から取得した根拠書類は存在したが、会議資料には正確には「反映」されないまま破棄されたり消去されたという事実だけが残ったのです。
続く文では行政の不当性だけではなく違法性さえ窺えます。④「同会議において、事務局より『簡易な試算』の経緯について説明があり、議論が行なわれたが、特に異論がなかったため、同会議の議事要旨には掲載されていない。」不思議に思うことは「議論が行なわれたが、特に異論がなかったため」とう曖昧な基準で議事要旨への掲載を決める行政が存在していることです。議事要旨は市ホームページに掲載され広く公開される性格のものであり、今回のような大事な行政情報を恣意的に不掲載とすることは市民の市政アクセス権を奪うことになり、それは不当な行政処分なのです。議事要旨への不掲載を決めた本当の理由を明示してもらいたいものです。この不掲載処分は次の点において違法です。この処分は福岡市公文書の管理に関する規則第6条違反です。第6条は「事案の処理に係る意思決定及び報告は,公文書を作成することにより行わなければならない。ただし,次に掲げる場合は,この限りでない。(1) 処理に係る事案が軽微なものであるとき。(2) 意思決定又は報告と同時に公文書を作成することが困難であるとき。」と規定しています。本事案は「簡易な試算」でも128億円3千万円の財政支出をともなう病院事業計画に関するものであって(1)の「軽微なもの」でははありません。また、(2)の公文書作成の困難性がある場合ではないので、「簡易な試算」の議論の過程を議事要旨として掲載しなかったのは、同規則違反であると指摘せざるを得ません。
市長は、不当で違法な議事要旨不掲載という行政処分によって「簡易な試算」の根拠資料を市民から隠蔽しました。市長はその理由として「特に異論がなかった」ことを挙げていますが、そのような文書取り扱いは福岡市の法規集の規定にはありません。また市長の裁量権からの逸脱であり、違法な行政行為です。
「簡易な試算」とその根拠資料を議事要旨に掲載しなかったからといって、それが請求された公文書の価値を低める効果はなく、また非公開決定処分の理由にはなりません。依って、福岡市長は「簡易な試算」とその根拠資料を議事要旨に掲載し直すとともに、当該公文書の公開をすべきです。
市は、建設関係者へのヒアリングを実施し「5割増し」という参考意見を聞き現在地建替費用を5割増し見積し直した時期を、8月と答弁してきたが、その以前の7月27日開催の第17回検証・検討チーム会議への配布資料には現在地建替費用は5割増の128億3千万円と印刷されていました。当弁明で(平成19年7月中旬から8月10日前後にかけて行った)と変更された議会での答弁を引用されているが、変更された時期に建設関係者にヒアリングを行ったのか、今は秘匿されている建設関係者の具体名を明らかにし、その相手方の証言も得て市長が事実証明しない限り、変更弁明を信用することはできません。
<市長の弁明3>
異議申立人の請求する「簡易な試算」の根拠書類となる公文書は、コンサルタント会社からの報告書、及び、同報告書と建設関係者からのヒアリング結果を反映させた第17回検証・検討チーム会議資料のみであるが、それらは既に公開済みであり、それ以外の存在しない公文書について存在を主張されているのである。
<異議申立人による3への反論>
市長は、異議申立人が公開請求している公文書は、①「報告書」②「会議資料」のみであると弁明している。しかし、それは間違っています。確かに「報告書」は存在しています。しかし、Ⅱで反論したように、「会議資料」にはヒアリング結果の「反映」が見られません。しかも、同会議で職員が行ったとされる「簡易な試算」の説明と議論は、議事要旨にも掲載されませんでしたので、市民が知ることができないのです。
異議申立人が公開を請求しているのは、総企第383-2号(2009年2月25日)で公開された情報以外のもので、ローリング費用を42億8千万円とした「簡易的な試算」(市長回答2月9日総企第375号記載)書に関連した計算式や投入数値、図面など「簡易な試算」の根拠となった全ての書類です。「簡易な試算」が第17回検証・検討チーム会議で行なわれたのですから、公開請求対象の公文書は存在を否定できません。否、存在しています。「存在しない公文書について存在を主張されているのである。」とは一方的で間違った決め付けであり、異議申立人の市政情報アクセス権を奪おうとする暴言です。そのように言明するのなら市長は当該請求公文書が存在しないことを証明しなければなりません。
<市長の弁明4>
なお、検証・検討チームが行った「簡易な試算」の参考として建設関係者のご意見をメモした担当者の備忘録は本市の規定する公文書ではないため、保存しておらず、現在存在しない。
<異議申立人の4への反論>
建設関係者からヒアリングは公務員の公務として行ったのだから、多くの裁判所の判決が示すとおり、作成した「メモ」もまた公文書です。従ってこの「メモ」は福岡市の規定によって保管されておかなければなりません。それを保存していないのは、3で反論したとおり福岡市公文書の管理に関する規則と規程に違反します。別の公文書公開請求の不開示決定処分で同「メモ」は破棄処分したと通知していますから、異議申立人らは、当該破棄処分は刑法の公用文書等毀棄罪に抵触するとして2009年3月に告発し、福岡地検はこれを受理し現在捜査を継続しています。また、破棄されたのは「メモ」だけではなく、2で反論しているとおり建設関係者から取得した根拠書類が含まれているのです。自ら公文書廃棄という刑法に抵触する違法行為を行なっていながら、「保存しておらず、現在存在しない。」と居直る態度は民主主義的な市政担当者とは思えないのです。市長は異議申立人が公開請求をしている公文書は保有していないと弁明していますが、公文書破棄という違法な原因処分を述べていません。市長が破棄したから保有していないのです。異議申立人が1月29日に行った公文書公開請求に対する2月9日付けの非公開決定通知書には「当該文書は既に廃棄済みである」と記されています。「ヒアリング・メモ」という作成公文書を廃棄し、建設関係者からの取得再見積もりデータ全てをパソコンから削除したから保存していないと無責任に弁明しているのです。異議申立人はこの弁明を信用できません。備忘録録を含めた請求公文書の全部の公開を追及します。
<市長の弁明5>
しかしながら、平成19年度12月末に検証・検討チーム及び事務局は解散したが、平成20年度、21年度においても、議会での答弁、及び、市民意見に対する回答をホームページで公開するなど、異議申立人の主張する「簡易な試算」の内容を含め、当時の経過の説明を行なっているところである。
異議申立人の5に対する反論
「異議申立人の主張する『簡易な試算』の内容」は一切公開されていません。故にこそ、異議申立人は市長弁明に対する反論書を作成し、公開請求した公文書の開示を求めているのです。市長が「説明を行なっている」との弁明は異議申立人に対する「こども病院」現在地建替費用見積もりの全ての積算資料をその根拠書類とともに全て公開してからにしてもらいたい。
市長の弁明6(参考:下記説明内容)
* 参考
<参考にした現地建替えにかかる建設関係者のご意見>
○ 現地の地質や狭い現地を考慮すれば非免責構造ではなく、中間免責構造を想定し、その他の費用としては新築価格の15%アップを見込むべきである。
○ 狭い敷地でのローリング工法は特殊であり、ローリング方式による現地建替えの建築経費は更地に建てる場合の1.5倍は見込むべきである。
○ 工法が複雑であるため、工事期間は延長すべきである。等
<算定根拠>
<現地建て替え経費の試算について>
コンサルタント会社調査報告書 検証・検討結果報告
(平成19年9月)
新棟建設 73億6千万円 84億6千万円
(73億6千万円×1.15)
外構工事 9千万円 9千万円
小 計 74億5千万円 85億5千万円
ローリング経費 11億円 42億8千万円
(*85億5千万円×0.5)
合 計 85億5千万円 128億3千万円
*ローリング経費として考慮した項目は、解体工事、仮設建物、設備切り回し、仮設工事、仮設外構工事です(検証・検討結果報告(平成19年9月)に記載)
<異議申立人の6への反論>
叙述されている文面全部について、次のことを明らかにされないと資料としての信頼度がありません。
① <参考にした現地建替えにかかる建設関係者のご意見>について、
建設関係者の会社名とその責任者名
「ご意見」の聴取りの時期と場所
「ご意見」の根拠となる建設関係者が提出した書類
② <算定根拠>、<現地建て替え経費の試算について>について
試算算定の建設関係者の会社名とその責任者名
試算算定の時期
現地建て替え経費の試算の明細、特にローリング費用の項目別明細。
Ⅲ.結論
以上の叙述により市長の弁明が事実にそぐわず、むしろ事実を隠蔽する内容であることが明らかになりました。依って、下記の市長の「弁明の趣旨」に対して、次のとおり結論を記し、反論とします。
2.弁明の趣旨
当該異議申立については、存在していない公文書を保有しているものと主張されていることから、公開すべき公文書が存在していない旨を主張するもの。
1)異議申立人の主張する「公開請求資料」は存在し、福岡市長が保有していると思料されます。
公開請求資料:
「総企第383-2号(2009年2月25日)で公開された情報以外のもので、ローリング費用を42億8千万円とした「簡易的な試算」(市長回答2月9日総企第375号記載)書に関連した計算式や投入数値、図面など「簡易な試算」の根拠となった全ての書類」
2)市長の弁明には理由がなく、市長が異議申立人の当初の公文書公開請求に係る一切の公文書を公開するよう、改めて求め、反論とします。
以上
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2009年8月21日
福岡市情報公開審査会
会長 川副正敏 様
異議申立人
脇 義重 印
福岡市東区奈多1-6-13
63歳
反論意見書
2009年7月7日付情公第205号でご依頼のあった、反論意見書を提出します。
Ⅰ.諮問事件の表示(市長の弁明意見書より抜粋転記)
「福岡市人工島検証・検討チーム会議の内、こども病院の現在地での建築には5割増のローリング費用が必要だとするゼネコン3社からの聴き取り結果が報告された会議に出席し、当該報告を受けた福岡市職員全員について、その報告内容を書き留めた各自の備忘録など関係書類の全部」の公文書非公開決定処分に対する異議申立て
Ⅱ.福岡市長の弁明意見書(2009年7月1日 総企第58-1号)の4.異議申立人の主張に対する福岡市の主張への逐条反論
<市長の弁明 1>
請求にかかる平成19年7月27日開催の第17回検証・検討チーム会議においては、事務局が議事録を作成しており、会議に出席した検証・検討チームメンバーで議事録をとっていたものはいない。
また、会議の配布資料にメモ書きをする場合があったが、検証・検討事業が終了した後検証・検討メンバーが個人で保有している会議の配布資料は「福岡市公文書の管理に関する規則」及び「福岡市情報公開条例」に定める文書(つまり「職員が作成し、組織的に用いるものとして、本市が保有するもの」)には該当しないため破棄されている。
<異議申立人による1への反論>
①市長弁明は曲解です。異議申立人が公開を請求しているのは上記の「諮問事件の表示」で市長が「福岡市職員全員について、その報告内容を書き留めた各自の備忘録など関係書類の全部」と転載しているように、会議に参加した職員の備忘録など関係書類の全部です。事務局には作成議事録と作成備忘録を、また、会議出席者には各自の作成備忘録と会議で取得した関係書類の全部の公開を求めています。「議事録をとっていたものはいない」との言質で恰も公開請求の権利行使を妨害することはやめてもらいたい。
②市長は「会議の配布資料にメモ書きをする場合があったが」と主張していますが、会議出席者全員が配布資料だけにメモ書きしたとは弁明していません。市長は会議出席者各自が持参した配布資料以外の紙媒体上などに備忘録を作成した事実性を否定していませんので、出席職員が配布資料以外の紙媒体に備忘録を作成した事があるとの反論に市長は対抗できませんし、そのように作成された備忘録もまた公文書であり、公開されるべきです。
③市長は「会議の配布資料は『福岡市公文書の管理に関する規則』及び『福岡市情報公開条例』に定める文書(つまり『職員が作成し、組織的に用いるものとして、本市が保有するもの』)には該当しないため破棄されている。」と弁明していますが、市長は同規則と同条例を恣意的に解釈して誤った適用を行い、公文書を不当・違法に破棄し、結果として同規則や条例で規定されている異議申立人の市政情報を正確に知る権利を妨げています。
注)規則、条例の抜粋を記します。
福岡市公文書の管理に関する規則抜粋
(目的)
第1条 この規則は,別に定めるもののほか,公文書の作成,分類,保存及び廃棄に関する基準その他公文書の管理に関し必要な事項を定めることにより,本市が保有する公文書の適正な管理を図り,もって行政事務の適正かつ効率的な遂行に資することを目的とする。
第2条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 公文書 職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって,職員が組織的に用いるものとして,本市が保有しているものをいう。
福岡市情報公開条例抜粋
(目的)
第1条 この条例は,日本国憲法の保障する住民自治の理念にのっとり,市民の知る権利を具体化するため,公文書の公開を請求する市民の権利を明らかにし,あわせて情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を
定めることにより,市の保有する情報の一層の公開を図り,もって市政に関し市民に説明する市の責務が全うされるようにするとともに,市民の監視と参加の下にある公正で開かれた市政の推進に資することを目的とする。
第7条 実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合(注:個人情報など6項目)を除き,公開請求者に対し,当該公文書を公開しなければならない。
④異議申立人が本件の公文書公開請求を行ったのは、福岡市のホームページ所収の第17回検証・検討チーム会議議事要旨には建設関係者からの意見聞き取り結果が記載されていなかったからである。当会議の詳細を知りたいとの異議申立人の要求に真摯な回答をしない市長弁明には怒りを覚える。異議申立人は出席者全員の備忘録と取得書類の本件請求のなかで、出席者である事務局が作成した議事録を公開することを特に求めざるを得ない。
異議申立人が指摘する「会議出席者」とは同議事要旨に謳う狭義の出席者とは異なり、会議に出席した全ての市職員及び関係者の全員を指します。当日の会議主席者は同議事要旨所収の 鮴酩徭長,阿鼻・務企画局諭ΑΒ松田総務企画局総務鼻・,清原総務企画局企画調整鼻・,砂田総務企画局行澄Αψ鼻・,ニ亮鼻・澄ι財澄Α・,森総務企画局鼻・(アイランドシテァΑθ検討担邸λの7名と氏名不詳の同察Τ局担邸υ職亜βびに関係者の全亜ηす。」
市長が上記のように弁明するのなら、係る定義による会議主席者全員に対して、市長が本件請求の備忘録や取得書類の全部を呈示するよう求め、その結果を異議申立人に提示すべきです。
<市長の弁明2>
事務局の職員が議事作成のために書き留めていた手書きメモは、議事録を作成するために個人の備忘録であり、公文書として保有している議事録作成後、破棄されている。
<市長の弁明3>
当該メモは、「福岡市公文書の管理に関する規則」及び「福岡市情報公開条例」に定める公文書(つまり「職員が作成し、組織的に用いるものとして、本市が保有するもの」には該当せず、既に破棄されている。
<市長の弁明4>
請求にかかる会議で配布された資料の原本は公文書として保存し、公開している。
また、既に公開している当該会議に配布された資料以外は、会議出席者に配布された資料はないため、異議申立人が主張する書類は存在しない。
なお、現在、公文書として保存している会議配布資料を個人で保有している会議参加者はいない。
<異議申立人による2、3、4への反論>
事務局の職員の議事作成(まま)のために書き留めていた手書きメモは、公務員が公務のために作成したものであるので、これもまた福岡市公文書の管理に関する規則第2条に規定されている公文書です。「職員が組織的に用いるものとして、本市が保有しているものをいう。」のですから、本来市が保有していなくてはならない公文書です。従って、この作成された手書きメモや取得書類は同規則第9条の別表3種によって5年間は保管され、破棄される場合であっても、第10条の手続きによって「主管の局の長の承認を経て,総務課長の許可を得なければならない。」の手続きを要するのです。従って、保管せず破棄したことは同条項に抵触し、規則違反となります。また、裁判所も「市議会の会派代表者会議に関して作成された『会派代表者会議記録メモ』と題する文書が,弘前市情報公開条例の適用対象である「公文書」に該当する」との判決を出し、公務員が公務中に作成したメモは公文書であると判示しています。
繰り返しの叙述になりますが、異議申立人が作成メモを公文書だと指摘し保存を質し改めて公開請求する理由は「こども病院」を含めた市の医療行政と福祉政策に関する重大な政策を方向付けた第17回検証・検討チーム会議で現在地での建替費用などに関する建設関係者から聴き取り結果がその意見と取得書類をもとにどのように報告されたかなど会議の全容が明らかになっていないことです。福岡市のホームページに掲載されている議事要旨は建設関係者からの聴き取り「意見」の口頭や文書での報告があったことを含め記載はありませんし、その報告を元に討論をしたことの報告も記されていません。また、建設関係者から根拠書類を取得した、否、しなかったという叙述記載もありません。異議申立人が公開請求している市政情報が一切記されていないのです。弁明に謂う、議事要旨のもとになった議事録が秘匿されているのなら、公開されるべきです。また、その議事録を作成した事務局が作成した備忘録も公文書であり公開されるべだと異議申立人は主張しているのです。
確かに、同会議で配布された資料は公開されており、異議申立人も公文書公開請求によって、写しを取得しています。しかし、これは配布資料であって結果報告書でありません。建設関係者からの聴き取り意見や根拠書類などの報告を交えた討議・討論など肝心な報告は福岡市のホームページ掲載議事要旨一切叙述されていません。
既に公開されている資料以外に配布された資料がないというのなら、現在福岡市情報公開審査会に諮問中で、異議申立人が1月に「ゼネコンから取得した加算根拠のローリング費用など書類とその際福岡市職員が聞き取ったメモなど現地建替建設費用割り増しの根拠となった資料一式」(抜粋)を公開請求したことに対する公文書非公開決定通知書で、市長が「当該文書は廃棄済みである」と記述していることと矛盾します。廃棄済みということは建設関係者から根拠書類を受け取ったが破棄したというのが決定書の趣旨であり、第17回検証・検討チーム会議では公開されている文書以外に配布された資料がないというのが今回の弁明だからです。では、建設関係者から聞き取った意見や関係根拠書類は、こども病院建替えの方向付けを行った第17回検証・検討チーム会議にも配布されなかったのでしょうか。同会議はこども病院を含めた人工島事業を検証・検討するために開設され会議を重ねたと市長は述べてきました。同会議に配布されなれなかっとしたら同会議以外で何時配布されたのかという疑問が生じます。いずれにしても、公開すべき市政情報ですので、異議申立人は改めて公開を求めます。
市長は「なお、現在、公文書として保存している会議配布資料を個人で保有している会議参加者はいない。」と弁明していますが、一体何を弁明したいのか異議申立人には理解できません。しかし、市長が公文書ではないと力説する備忘録や会議には配布されなかった建設関係者からの取得関係根拠書類を会議以外で取得し個人で保有している会議参加者には保有されている関係書類は公文書であり、速やかに公開手続きをとるよう勧告します。