情報公開請求異議申し立てー誰が900億円を負担するのか!

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 去る1月29日、私たちはこども病院現地立替費用を1.5倍に水増しした根拠となる資料について情報公開請求していました。私たちは「根拠となる資料一切」を求めていたにもかかわらず、市は勝手にゼネコン3社へのヒアリングメモとし、2月9日に個人的備忘録なので破棄したので情報公開すべき文章はないと回答してきました。そこで2月16日に異議申し立てを行い、市長は3月18日に福岡市情報公開審査会に諮問。3月23日、審査会は市長に「弁明意見書」提出を依頼。4月28日、市長は「弁明意見書」提出。審査会は異議申立人に「反論意見書」提出を依頼。5月29日に私たちは「反論意見書」を提出しました。
 こども病院現地立替費用を1.5倍に水増しした根拠となる資料について情報公開請求は、単に手続きの問題ではありません。福岡市が市民にこども病院を人工島に移転する根拠として、「現地立替は高くつく」と説明してきた重要な資料です。市の計画ではこども病院を人工島に移転すれば、30年間毎年17億円の赤字が生じる計画になっています。一般会計からの12億円の繰り入れを含めれば実質30億円の赤字を30年間出し続けるのです。市民が30年間で900億円もの負担をしなければいけない事業についてずさんな説明で良いはずはありません。
 これまで市長は市民には十分説明をしてきたとしていますが、まさに無受だらけの「水増し」説明です。また、議会もこんないい加減な資料でこども病院を人工島に移転させることを認めて、市民の負託に応えたと言えるのでしょうか。議会は、地方自治法に基づき100条委員会を設置して真相究明する責任があります。このままでは市民は900億円の負担、市のずさんな計画を見るとこの倍以上の負担を強いられかねません。

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                              2009年5月29日

福岡市情報公開審査会
会長 川副政敏様

                        異議申立人
                         脇 義重         印
                         福岡市東区奈多1-6-13
                         63歳

反論意見書

2009年4月30日付情公第59号で依頼のあった、反論意見書を提出します。

Ⅰ.福岡市長の弁明意見書(2009年4月28日 総企第21号)中「4.異議申立人の主張に対する福岡市の主張」 への逐条反論

市長の弁明①
1)市職員がゼネコンにヒアリングを行った際、
①ゼネコンから得た書類は無いため保有していない。異議申立人は、「聴取以外にゼネコンから聴取を補強するために提供された書類存在を前提としてその公開を求めている」が、そもそもゼネコンから書類は提供されておらず、存在していない公文書を保有しているものと主張されているものである。
異議申立人の①への反論
そもそも、異議申立人が1月29日に公文書公開請求をしたのは、こども病院の現在地での建替え費用について、どうして費用が5割増しになったのかを知り、こども病院を人工島に移転する決定を市民の立場で判断するためです。費用を水増し加算するのなら、積算根拠となる計算式や数値、図面など水増し根拠となる一切の資料(以下、「公開請求資料」)が存在したはずです。
 福岡市長は、5割増しとなった現在地建替え費用の明細を示し福岡市民に説明しなければなりません。福岡市はこの説明責任をはたしていません。それどころか、福岡市長は「弁明意見書」のなかで「ゼネコンから得た書類は無いため保有していない。」と開き直っていますが、それなら市長は現在地建替え費用の再見積もりについて聴取したゼネコン3社名を明らかにしたうえで、再見積もりについての「公開請求資料」を提供していないことをゼネコン3社に証明してもらう必要があります。「公開請求資料」を取得・作成せずに、どんな方法で費用を5割増しにする積算資料を作成することができたのでしょうか。また、ゼネコン3社から聴取した情報の記録なしにどのように検証・検討したのでしょうか。しかも市長は追加のローリング費用の項目明細は公表していませんので、加算されたローリング費用42億8千万円には根拠がなく、正当性がありません。
強調しなければならないのは、(株)PwCアドバザリーは当初の見積額85億5千万円のなかに既に11億円のローリング費用を盛り込んでいたことです。ローリング費用を含めた見積額の5割増しの計算をしていることから、42億8千万円の追加費用を積算した後でその費用項目をローリング費用としたことになります。総計128億3千万円の現在地建替え費用はローリング費用の水増しで構成されているのです。このような杜撰な積算方法では市長は総額128億3千万円と過大となった現在地建替え費用の正当性を主張することはできません。市長は二重計算となったローリング費用の計算式と投入数値など明細を公表し説明責任を果たすべきです。
また、福岡市は具体的に何と比較して当初の見積額85億8千万円を「安すぎる」と判断したのか、その判断にゼネコンなど外部の関与はなかったのか、なぜゼネコンに問い合わせするようにしたのか、それらの理由を明らかにし、そのように判断するに及んだ会議の日時および議事録・記録の一切を公表すべきです。
しかも、市長は「そもそもゼネコンから書類は提供されておらず」と弁明していますが、読売新聞は09年1月23日号付けの新聞紙面に「担当職員は『再見積もりの文書はすべて破棄し、パソコンのデータも消去した』としている。」との報道記事を載せています。この記事からは分かることは、担当職員が現在地建替え費用を5割増し再見積もりの根拠となった書類の提供および関連情報を当該ゼネコンから受けていたことです。だから、現在地建替え費用積算について、ゼネコンから取得した書類および関連情報の記録は存在しており、市長はその書類および関連情報を基に作成した「再見積もりの文書」ともに公開すべきです。かかる資料および関連情報、取得・作成した文書を破棄して保有しないと主張するなら、何を取得し何を破棄し「パソコンのデータも消去した」かの一覧表にして公表すべきです。
市長は、市民が当該ゼネコンに書類提供の有無を問い合わせできるように、聴取したゼネコン名を明らかにすべきです。

市長の弁明②
②メモについては、既に破棄しているため保有していない。
異議申立人の②への反論
上記「メモ」が何を指しているか不明です。読売新聞09年1月23日号には「担当職員は『再見積もりの文書はすべて破棄し、パソコンのデータも消去した』としている。」と掲載報道されていますので、破棄したのは「メモ」だけではないことがはっきりしています。聴取の備忘録を含めた「公開請求資料」の破棄は違法行為です。
多くの判例が示すように、裁判所は公務員が公務で作成した「メモ」は公文書であると判示しています。また、政府提案の「公文書管理法案」にも、公務員の「メモ」を公文書として扱われる方向で審議が進められています。
当該メモの破棄は明らかに刑法で刑罰が定められている公用文書毀棄罪に該当しており、
異議申立人らは市長ら4人の福岡市職員を同容疑で刑事告発しています。
 異議申立人は係る違法行為を糺すとともに、「既に破棄しているため保有していない。」
とする非公開決定に理由はないと判断し、メモを含めた「公開請求資料」は存在し、福岡
市は現有している判断し、その原状回復を求めて、当該公文書の公開を求めています。

市長の弁明③

 ③現地建替費用割り増しの根拠となった資料一式については①②のように、ヒアリングに際して得られた又は作成された文書(メモ)を指していると解釈し、それらを保有していなかったことから保有していない、と判断した。
 しかしながら、今回の異議申立書により、③現地建替費用割り増しの根拠となった資料一式については、「(ローリング費用を42億8千万円とした)『簡易な試算』の計算書及びその根拠となった文書等」を指しており、ヒアリングに際して得られた又は作成された文書(メモ)に限定されていないことが判明した。
 このことについては、平成21年2月16日異議申立人より重ねて公文書公開請求(総企第383号)が行なわれ、「ローリング費用を42億8千万円とした『簡易な試算』書と関連する書類一式」を請求されており。③現地建替費用割り増しの根拠となった資料一式と同じ文書を指していることを異議申立人に確認したため、当該資料一式である「第17回 検証・検討チーム会議における配布資料」を公開している(総企第383-2号公文書公開決定通知)。
 また、ヒアリングの際に担当者が作成したメモは、個人の備忘録として作成したものであり、「福岡市公文書の管理に関する規則」及び「福岡市情報公開条例」に定める公文書には該当せず公開請求の対象にはならない、と判断している。

異議申立人の③への反論
この③全体には福岡市の大きい故意の誤謬があります。繰り返しになりますが、1月29日の公文書公開請求で、異議申立人が求めた行政情報は、「現地建替費用割り増しの根拠となった書類一式」です。第一段落に見られる「現地建替費用割り増しの根拠となった資料一式については①②のように、ヒアリングに際して得られた又は作成された文書(メモ)を指していると解釈し、」はどう考えても成立しない解釈です。書類一式とは聴取の際ゼネコンから得た全ての書類を指すことは自明であり、「メモ」に限定した「判断」は故意の誤謬です。
 さらに、異議申立人が「簡易な試算」関連書類一式の公文書公開請求したのは、「簡易な試算」で42億8千万円が算出されているとの市長回答を2月9日に得たからであって、「簡易な試算」関係書類の公文書公開請求したものの、市長が弁明しているような「現地建替費用割り増しの根拠となった書類一式」と同一視のではありません。また承前の「書類一式」の全面的な公文書公開請求を放棄したのではありません。したがって、市長の「資料一式と同じ文書を指していることを異議申立人に確認したため、」の弁明は誤解に止まらず、異議申立人の真相究明する権利を妨げる曲解ですらあります。
 また、異議申立人が公文書公開請求しているのは福岡市の作成公文書であるメモとゼネ
コンからの取得公文書である「公開請求資料」なので、「福岡市公文書の管理に関する規則」
と「福岡市公文書規程」に違反しています。

市長の弁明④
2)「当該文書」とはヒアリングの際に担当者が作成したメモを指しており、「簡易な試算」の計算書及びその根拠となった文書等は「当該文書」には含まれていない。

異議申立人の④への反論
簡易な試算の計算及びその根拠となった文書等は公務員が公務で作成したもので、公文書に該当します。この弁明は弁明意見書3.異議申立人の主張のうちの下記括弧内記述への回答です。
2)公開請求に係る公文書を保有していない理由「当該文書は既に廃棄済みである。」ことについて 
「当該文書」が何を指すのか不明。「簡易的な試算」の計算書及びその根拠となった文書等も「当該文書」としたのか明確にされなければならない。
 この回答で、市長は廃棄した「当該文書」とは「メモ」だけだと公言しています。もっとも、「メモ」も公文書であり破棄すれば、刑法や福岡市の規則や規程に違反する行為ですが、この回答で市長は、「『簡易な試算』の計算書及びその根拠となった文書等は『当該文書』には含まれていない。」と弁明し、「当該文書」は破棄されず現存していると公言したものです。

Ⅱ.結論
以上の叙述により市長の弁明が事実にそぐわないものであるかが、明らかになりました。
依って、市長の弁明意見書の下記結論叙述に対して、次のとおり結論を記し反論意見とします。
2.弁明の趣旨
 当該異議申立については、存在しない公文書を保有しているものと主張されていること、また公文書に当たらない文書を公文書公開請求の対象であると主張されていることから、公開すべき公文書が存在しない旨を主張するもの。
 また、異議申立人が公文書公開請求の際、請求していたと主張される文書については、諮問庁が請求されていないと解釈していた旨を主張するもの。
1)異議申立人の主張する「公開請求資料」は存在し、福岡市長が保有していると思料されます。
2)「メモ」を含めた「公開請求資料」は全て市役所において保有すべき公文書であり、その破棄は刑法と福岡市の規則と規程に違反します。
3)異議申立人は当初の1月29日の公文書公開請求の時点で、「現地建替費用割り増しの根拠となった書類一式」を請求しているのであって、市長が「請求されていない」と解釈したのは当該水増しローリング費用積算の真相が明るみにでることを恐れた証左であり、責任逃れの謗りを免れない言質です。「一式」とは「全て」の同意語であることは自明です。
4)市長には「現地建替費用水増し」の判断に至った経緯を市民に説明する責任があり、どの会議でどのような資料を基に検討がなされ、いつ結論に至ったのかを明らかにすべきです。判断根拠資料については、異議申立人が当初から「現地建替費用割り増しの根拠となった書類一式」を請求していたことは明確であり、「メモ」だけの公開を求めていたとか、上記「書類一式」が「簡易な試算」の根拠資料と同じ文書であると異議申立人と確認したとか、市長が故意に事実をねじ曲げてきた事実は厳しく糾弾されねばなりません。
5)よって、市長の弁明には理由がなく、市長が異議申立人の当初の公文書公開請求に係
る一切の公文書を公開するよう、改めて求め、反論とします。
                                      以上