昨年12月に人工島事業検証・検討結果が公表され、吉田市長はこども病院と市民病院の統合は止めてこども病院は周産期医療を加えて充実させ、こども病院のみを人工島へ移転する、その一方で市民病院は民営化の方向を示しました。この結論に対して、議会では自民党を中心に山崎前市長の「新病員基本構想」通り人工島へこども病院と市民病院を統合移転実施するように求めています。しかし、平成18年から九大が小児医療センターを開設したこともあり、市内の小児科医69名が「こども病院の人工島移転は施設が偏る」としてこども病院の人工島移転を止めるよう市長に申し入れしています。多くの市民は利便性がもっとも悪い人工島への移転に反対しており、利用者の家族の方がこども病院の人工島移転移転反対の署名活を昨年末に始めています。私たちも12日(土)に集会を持ち、市民の立場からこども病院の人工島移転中止を求める署名をすることとしました。
こども病院の人工島移転は市長公約違反であり、当事者の参加がないまま検証・検討がなされた結論は市民に受け入れられるものではありません。
1月8日に市長は病院運営審議会にこども病院と市民病院の病院事業について再諮問をしたと報じられました。市が諮問したものは
①しこども病院の医療機能のあり方
②市民病院のあり方
③市立病院の経営形態
とされ、移転先については諮問されていません。12月に公表された人工島事業の検証・検討結果には「検討結果を踏まえ審議していただく」とあり、人工島移転は規定方針としています。検証・検討結果でも利用者の多くは現地建て替えを望んでいると認めていながら、現地建て替えは費用が1.5倍かかる、狭い、建て替え中の医療行為への支障等の理由を挙げ、結論は人工島移転になっています。見直しの基本に財政面を第1に掲げており、市民病院については行政が担う必要がないとして民営化を進めようとしています。公立病院が地域医療の水準を上げているという検証・検討チームの外部アドバイザーの指摘があるにもかかわらず、市民病院を民営化する費用削減のみを視野に病院政策を進めることは問題です。こども病院移転問題は福岡市がどこに政策の重点を置こうとしているのか、市民の声をどのように受けとめているノいないのかが問われています。同時に、人工島事業が福岡市政をいかにねじ曲げているかを示しています。
吉田市長は「こども病院の人工島移転に反対している人たちだけが私に投票した訳ではない」と居直り、公約を破り、なぜ市民の反対を押し切ってこども病院を人工島に移転させるのでしょうか。その裏には銀行との関係があります。山崎前市長が人工島事業見直しをした時点で既に銀行団は博多港開発への融資を凍結あるいは撤退を始めており、融資の再開・継続を得るために平成13年に銀行団に対して「銀行に決して損はさせない」という念書を書き、銀行団と博多港開発との融資に関する協定書を交わす場に山崎前市長が立会、福岡市が具体的な損失保証することを担保しました。売れない土地は福岡市が買い取り、博多港開発が確実に銀行へ返済できるようにするというものでした。協定書には「土地張付き約定返済」として具体的な土地処分の時期と面積を計画書として福岡市が提出することになっていました。
しかし、平成17年に銀行団は人工島事業には展望がないとして、埋立が終わっていない博多港開発第2工区95㌶をこれまで要した工事費相当額(銀行団が貸し付けた額)399億円で福岡市に買い取らせました。つまり銀行団は焦げ付きをおそれ、市民に全て負担させたのです。既に埋立が終わった土地については、改めて福岡市に土地処分について担保させ今日に至っています。博多港開発は「土地張付き約定返済」から土地処分ができた時に返済する「随意返済」になりましたが、
〔売上高〕 当該年度の売上高が事業計画の80%
〔販売価格〕販売単価加重平均が事業計画における単価の a、当該年度の80% b、2期連続90%
を達成できなければ融資について協議するとなっています。つまり、病院移転予定地を福岡市が購入しなければ博多港開発は融資の返済ができなくなり、博多港開発の経営が行き詰まります。しかし、銀行団は博多港開発が倒産しても困るのです。博多港開発第1工区(照葉地区)の売れ残りの土地は全て銀行団の抵当権が設定されています。しかし売れない土地を差し押さえても銀行は土地処分に困るだけです。銀行団は確実に福岡市に土地処分をさせたのです。病院移転は銀行団にとって是非とも進めなければいけない事業なのです。銀行団の幹事社は福岡銀行であり、もっとも貸付額が多きのも福岡銀行です。福岡銀行の影がこども病院人工島移転に見え隠れします。昨年9月に朝日新聞で福岡銀行は山崎前市長のパーティ券購入を断ったが、吉田市長のパーティ券20間円を購入していたと報道されています。火のないところに煙は立たないといいます。吉田市長の市民に対する裏切りにきな臭いものを感じます。