都市論としての人工島(その2)

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 福岡市は天神地区の建て替えを促進するために容積率の緩和をすることとしている。これを受けて天神ビルや福岡銀行本店の区画の事業者を中心に検討委員会が作られ、福岡市も参加するとされている。建て替え期を迎えたこの時期こそ福岡の将来を見据えた都市づくりを行うべきである。しかし、最も重要なことは福岡市のトータルなグランドデザインの中で建て替えを進めなければならない。福岡市の自然と文化、歴史をトータルにとらえ、それぞれの街並みを形成される必要がある。博多湾と島々、川と背振の山並みを背景にしたものでなけばならない。古代朝鮮と同じくする文化圏、中世の商人からの街と近世の城下町との双子都市、現代から未来に向く街、表通りと路地裏、これらが渾然一体となり、同時に棲み分け、街角を曲がるたびにそこにはキリコの絵のような不安と期待が入り交じる、歩いて楽しい街でなければならない。しかし、今の福岡市はどうであろうか。これまでの都市再開発や埋立事業を見ると、そこに見えてくるものは単調なものしかない。市場経済優先の、連続性がない、すぐはがれてしまいそうな安いメッキづくりの街になっている。人工島事業はまさにその象徴である。
 都市の生命力は何であろうか。多くの人を魅了する多様性とそこから生み出される経済である。