EUのREACH(化学物質の登録、評価、認可)規制が施行
20世紀に入り多数の化学物質が造られるになり、世界の生産量は1930年の100万トンから2000年には4億トンと増大してます。1981年以前に造られた化学物質は10万種、それ以降に3000種の化学物質が造られていますが、1993年以降既存の10万種の化学物質の内完全なリスク評価がなされているのはわずか141物質だけです。EUにおいて既存化学物質の規制を採択してから11年後の2004年12月に評価結果が公表されたものは28物質です。現在のリスク評価のやり方では、スピードを上げても既存化学物質のリスク評価を終えるには5000年かかります。
化学物資は雨水、土壌、海、空気、植物、大気、そして人間をはじめとする動物を汚染しています。穂局や深海、山の頂上と地球上至る所で化学物質が検出されています。そして、有害物質を原因とする職業病、ガン、生殖障害、アレルギーなどが増加しており、母乳からは350種の化学物質が検出されたという報告もあります。日本でも飲料水の減水となる河川からは250種の化学物質が検出されているとも言われ、くらしのの中では数多くの化学物資が溢れており、化学物質過敏症の方も増えています。
REACHは化学物質のリスク評価には時間と経費がかるため、予防原則の考えで大量に使われているものから規制します。年間1万トン以上製造されるものは全て登録、年間100万トン以上製造されるものはリスク評価し必要があれば更にテスト、”非常に高い懸念がある”ブラックリストに載った物質は認可又は制限し、代替え又は段階的廃止を求めることになります。EUで生産されるもの、あるいはEUに輸入される化学物質を対象としています。新規の化学物質だけでなく既存の化学物質についてもリスク評価を行い、データー登録します。リスク評価は政府当局から製造者・輸入者に課せられます。製品に使用されている化学物質について製造者及び販売者、輸入業者が品目ごとに登録の手続きが必要となっています。また、化学物質情報の透明性、開放性を進め、一般への開示を確保することを目的としています。REACH規制成立には北欧のみどりのEU議員の力が大きく働いています。
REACH規制は2006年にEU議会で承認され、2007年6月から施行となりました。日本の企業でもREACHに対応する体制が取られていることが報道されました。しかし、日本ではPRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)による有害化学物質の移動について一定規模の企業に生産と移動の報告を義務づけています。しかし、この法律は予防原則に則ったものではなく、基本的には排出規制ではなく、企業に使用の自粛を求めているだけです。環境ホルモン問題など有害化学物質による地球の汚染は地球温暖化同様に世界の大きな課題です。予防原則に則り、化学物質の生産・使用・環境への排出を早急に抑制しなければなりません。被害の因果関係が分かった時には、対策は役に立たないことは、これまでの公害問題でも明らかです。予防原則に則り有害化学物質の生産・使用・排出を削減するREACH規制の意味を日本でも知らせていく必要があります。