福岡市では御供所町の景観指定地区に隣接する場所に40㍍のマンション計画が問題となっています。今日の新聞報道によれば、市では景観条例を改正して、違反した者に懲役1年以下、罰金300万円以下、違反建物の除却命令などを盛り込むとし、罰則を強化するとしています。景観法を活用し建築物の形や色、意匠についても変更命令が出せるようにするとのことです。
私はこれまでも議会で景観法を活用し、景観計画を策定することで歴史的遺産の継承や、将来の街並み形成をすすめることで、福岡市の魅力を高めることを求めてきました。福岡市では新都心計画が議論されていますが、いま福岡市のグランドデザインを描き、御供所地区だけではなく具体的な景観計画の基、50年、100年先の福岡市の街並み形成を図るべきです。特に、渡辺通沿いや明治通り沿いの建て替えに時期に来ている建築物があり、事業者の協力を得つつ、色調、デザイン、緑地、空間など将来歴史的遺産として残せるような街並み形成をすべきです。また、御供所町や櫛田神社周辺については歴史的街名の景観形成をすすめるために、新たな建築物に対しては町屋をイメージさせる色調やデザインを義務づける、緑地や空間の確保など面的計画を立てる必要があります。
福岡市ではマンション問題が数多く起こっています。問題の多くは福岡市の都市計画の考え方にあります。土地の高度利用を前提に、地域の現況や住民の意思とは無関係に用途指定をしていることになります。特に住環境を守るための緑地や空間の確保、絶対高さ規制がないこと、用途地区の緩衝地帯がないこと、環境アセスについては小規模開発でもでも実施が必要であり、周辺住民を含めたラウンドテーブル方式の協議の場を義務ずけること、指導に従わないときの罰則強化を図るなどが必要です。そのためにも、斜面緑地の開発規制や世田谷区のような建築に伴う緑被率を条例化する、平面だけでなく垂直方向の空間の確保など、条例化が必要です。
マンション問題は地域住民のエゴではなくではなく、街づくりの重要なエネルギーです。むしろ住民の声を聞こうとはしない事業者の社会的責任が問われるケースが多いのが実態です。将来の福岡市が魅力ある都市として発展するためにも、マンション問題の本質を見なければいけません。今回の市の対応は一歩前進と評価出来ますが、更にもう一歩踏み込んだ政策が必要です。