07年度予算案について

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福岡市の新年度予算を見て
■2007年度予算は緊縮予算、しかし人工島は従来通りの事業継続
福岡市の2007年度予算は一般会計6,740億円(前年度比0.6%減)、3会計合計1兆8,310億円(前年度比2.8%減)と緊縮予算となっています。歳入は、景気の回復による法人市民税の増と、三位一体の改革によって税源移譲により市民税は増えていますが、地方交付税・補助金等の削減等により、歳入は全体として前年度とほぼ同じ水準となっています。歳入確保のために市税の収納率向上を図るとしています。一方歳出は、人件費や扶助費など義務的経費が増え続けており、財政状況は厳しく歳出の抑制をしなければいけない状況です。歳出抑制の中心は職員の削減(115名減)と給与減額、業務の外注化などとなっています。吉田市長は財政健全化に向けて借り入れを一段と減らし587億円に抑え、起債の元金償還を増やし778億円にする、また、諸基金の取り崩し減と財政調整基金の積み増しをしています。しかし、人工島事業には従来通りの事業を続けるために約226億円を計上しています。

■公約が守れるか不透明
今回予算では公約をどのように実現するのか問われています。子育て日本一の都市にするとして就学前児童の医療費の無料化や留守家庭子ども会有料化について減免の見直しなど子育て支援や、市民のための公共工事を行うとして学校などの耐震化を進める予算を組んでいます。また、無駄な公共工事の見直しとして人工島への病院移転を07年度秋までに検証(土地購入費67億円を07年度予算からはずす)、渡辺通北土地区画整理事業における市民芸術劇場構想について、焼き物博物館構想について、市役所東側前の道路を須崎へ抜けるよう整備する事業についての3事業を再検討としています。これらの点では厳しい財政状況でそれなりの努力が見えますが、構造的な問題には切り込めているとは言えません。身の丈にあった都市づくりを掲げていますが、まだ具体的な全体像は見えません。

■環境政策は変わらない
環境政策については従来通りの政策を踏襲しています。福岡市のゴミ政策は焼却主義を進めてきました。福岡市のゴミ焼却能力は1日3150トン、周辺自治体を含めた市民が排出する焼却ゴミは約2000トンです。メンテナンスのために休止することを計算に入れて稼働率を75%とすると、1日約2600トン強の処理能力となり、既に過剰施設となっています。福岡市はゴミ減量を進めるとしているにもかかわらず南部清掃工場を建て替えるとしています。南部清掃工場を4自治体が共同で運営することにしたため、大野城市ではこれまでプラスチック類は分別して燃やしていなかったのですが、プラスチックの分別を止めて燃やすことになりました。吉田市長は従来通り南部清掃工場の建て替えを進めるとしています。焼却主義を捨てないこの計画は、地球温暖化防止にも反する計画です。
水源開発についても従来通り続けるとしています。福岡市の1日の造水能力は75万トンです。渇水時の棄権率70%としても造水能力は51.5万トンです。、福岡市の1日の使用料は平均40万トン、夏場のピーク時でも45万トンであり、福岡市の水事情は余力が十分あります。日頃から雨水利用や処理水の利用を進め節水に努めれば新たな水源開発は必要ありません。しかし、吉田市長は五ヶ山ダムなどの水源開発を続けると表明しています。1978の大渇水以来、福岡市は筑後川から水道水を取っていますが、その結果ダム建設による自然破壊、筑後川からの流入が減ることで養分が減少し有明海の生態系と漁業に大きな影響を及ぼしています。都市膨張政策による水源開発が自然環境に影響を及ぼしている反省がいまだにありません。

■市民の声をどのように聞くのか不透明
人工島事業についても、病院移転や青果市場の移転を見直すとしていますが、どのように見直すのか示していません。市長は「聞きたかけん」と市民の声を聞くとしていますが、私たちが求めている公募市民やNGOを入れたラウンドテーブル方式の見直しや住民投票による市民の意思決定についてなにも答えていません。いまのままでは山崎前市長が行った、市職員だけでの密室の見直しになりかねません。また、港湾施設については2月議会でも争点になりましたが、過剰な設備投資と指摘しているにもかかわらず従来通り整備するとしており、一体どこをどう見直そうとしているのかも明らかではありません。
以上のように、新年度予算を見ると、吉田市政が開発優先の市政から環境優先・市民の暮らし優先に舵を切ろうとしているのか不透明といわざるをえません。