公共工事不正再発防止調査特別委員会

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2007年1月29日
1入札制度改革の実施状況について
公共工事入札改革委員会を平成13年4月に設置し検討を進め、平成15年3月に廃止した。入札制度の改革については平成15年4月以降に実施されているが、実施前では平均落札率は96%台であったものが平成17年度では94%台と下がっているものの、それほど効果が上がっているとは思えない数字である。

1、入札制度の実施状況について、以下のように報告している。
1)透明性の確保として①競争入札参加資格認定における等級区分の基準の公表、登録業者に自社の評価点の通知、②予定価格についての事前公表の拡大、
2)公正な競争の促進及び不正行為の排除の徹底として郵送入札の実施、および工事説明会の廃止(業者同士が顔を合わせない)、
3)適正な施行の確保として①新請負工事成績評定要領による評定と評定結果の通知及び公表、②最低請負価格制限制度の拡大(予定価格の70%)、
4)障がい者の雇用等社会的貢献をしている企業について、客観的に評価し貢献度の高い企業については優先指名などの優遇措置(2年に1回の指名業者認定時に行っている。実績として障碍者の雇用企業21、環境対策の企業37、防災対策に協力企業27)、
5)業者の登録、入札情報及び電子入札を行おう電子調達を平成16年度か順次導入、電子入札電子入札を平成17年11月から一部試行、平成21年度には完全実施の予定。
6)今後の予定としては、全国知事会が談合防止及び入札改革の指針で示している一般競争入札、総合評価制度、ペナルティの強化などを検討するとしている。
現在、福岡市は一般競争入札は国の通達であるWTOによる指針の24億1千万円以上の工事にしか実施しておらずほとんどこの金額の工事はない。24億1千万円未満円から億円以上が公募型指名競争入札、1億円未満方250万円以上は指名競争入札となっており、実態は指名競争入札が全てとなっている。国土交通省は2億円以上の工事は一般競争入札、横浜市では原則全て一般競争入札、川崎市は1万円以上の契約は一般競争入札、福岡県は1千万円以上まで一般競争入札にするとなっており、福岡市の遅れが際だっている。市は公募型指名競争入札については応募者全てを指名しており、事実上一般競争入札に引けを取らないとしているが、問題である。一般競争入札にすると事務量が増え煩雑になるとしている。今後検討すると答えているが早急に実施すべきである。
最低入札価格について予定価格の70%は低いのではないかという質問には、他都市も60~80%程度であり適正としている。地場中小企業の受注についてはベンチャー方式を導入することで受注の機会を保証していると答えている。また不正企業の排除に内手は、談合情報については弁護士、大学教授、税理士などの外部員で構成する構成入札監視委員会で調査している。ペーパーカンパニーを排除するために抜き内で指名業者を調査し、本社機能があるの調査している。平成17年度には45者を指名解除しているということである。
外郭団体における入札実態について把握についての質問では、把握していないと答えているが、外郭団体の工事も公共工事の一部であり、キチンと把握すべきである。現在3億円以上の契約については議会への報告がなされているが、その他の状況の報告はない。ケヤキ庭石事件は市が51%出資した博多港開発株式会社での事件であり、人工島事業をはじめとする埋立事業は市の都市計画・港湾計画に基づいて行われる事業である。不正の温床にならないよう監督すべきである。
暴力団排除についての取り組みについて、北九州市の事例を挙げて質問が出された。北九州市では警察と協力して、1千万円以上の工事については受注後も業者に暴力団との関係がないことを確認するために指導している。3億円以上の工事については元請けだけでなく、下請け、孫請けも暴力団関係者がいないことを確認している。しかし、福岡市では資格申請する時点で誓約書を出させているので問題はないとしている。福岡市においても近年市営住宅の改装工事と都市高速道路工事において暴力団の介入事件が起こっており、暴力団排除には下請けや孫請けの関係者の調査も実施するなどより徹底した取り組みが必要である。
公共工事の単価は2~3割高いと指摘されているが、発注時の設計あり方や規格・資材の積算単価に問題はないのかと私の問いに、国土交通省、農林水産省の市場調査、県の調査、市の市場調査などを基に適正にされているとしている。また、設計もより厳格に適正な規格で行っており、問題はないとしている。

2、不正再発防止のための取り組みについて
1)職員構成会の会員相談機能を充実
職員構成会では臨床心理士をおいて様々な相談を受けてきたが、近年借金等金融問題の相談が急増し、平成16年4月から弁護士を配置している。近年借り入れがしやすくなっていることもあり、借金の相談が増えている。

2)平成16年5月に職員相談サポートライン制度の設置
職員相談サポートライン制度が内部のチェック機能として働いているのか実績について質問がなされたが、平成16年4件、17年4件18年現在1件という状況である。このうち懲戒免職処分に至ったものはあるが、公共工事に関するものはない。実態から見ると内部告発制度としては機能しているとは言い難い。通報の窓口は職員監察室と弁護士となっているが、明確な外部の第三者機関とは言えない。これではトップの犯罪は告発出来ない。また保護すべき対象は職員だけ、昨年からは派遣社員も対象と答えていると答えているが、外郭団体や契約している会社の職員、OBは対象になっていない。ケヤキ庭石事件は福岡市が51%出資する外郭団体である博多港開発で起こった事件である。また、教育委員会のトップが試験問題を漏洩する事件を見ても、福岡市の内部告発政が機能しているとは言い難い。

3)「公務員倫理に関する条例の解説、事例集の作成」(平成16年6月)

4)「不祥事防止の手引き」の作成(平成18年7月)

以上の対策以外で、議員による口利きに対する対策がなされていないことについて私は強く指摘した。ケヤキ庭石事件で明らかになったことは、当時市議会議員であった西田藤二氏は博多港開発にケヤキ庭石を売りつけただけでなく、事件以前に既に議員という地位を利用して下水道局や港湾局、都市整備局にケヤキを1本100万円で売りつけていた事実がある。また自民党パーティ券事件では、自民党市議団は議員の地位を利用して当時の交通事業管理者に地下鉄工事を請け負った企業に工事7億円につき2万円のパーティ券を売らせており、談合を行うと共に政治資金を集めるという悪質な事件を起こしている。交通事業管理者は自殺という痛ましい事件であった。
私はこのような事件を起こさせないため、また職員に不当な圧力をかけさせないためには、議員の口利きについては全て記録を残すように求めた。しかし総務企画局長は、不正な圧力があったときは報告するようにしているので、記録を残す必要はないと答えている。これでは高級工事における不正や職員への不当な圧量をなくすことはできないと主張した。議員の口利き問題は今後とも取り組む必要がある。

3、人工島等の緑化事業に係るケヤキ・庭石購入について
1)ケヤキ・庭石の現況等について
活用済み     暫定活用    圃場     東浜保管      計
ケヤキ   269本     74本    257本              600本
庭石  2,725t                       7,338t  10,063t

活用済みは①人工島公園に115本②人工島外周30本③九大学園線95本④その他公園59本、暫定使用は博多港開発第1工区と第2工区の再開部分に一時的に使っている。ケヤキは塩分に弱いため、人工島では盛り土をして使っており、人工島内の街路樹には使えない。ケヤキの残り247本は鹿児島の圃場で管理している。ケヤキの圃場での管理費は年間1本2間円、計514万円ということになり、庭石は東浜保管地の警備会社による巡回費用として年間60万円という。
庭石は人工島中央公園や九大で使っている。ケヤキ257本、庭石7,338トンについては博多港開発は平成17年度決算で総額6億4百万円を特別損失として処理した。ケヤキ・庭石は今後寄付Sるとしているが、ケヤキ1本の移設費用は40万円、庭石の運搬設置費用は1トン3万円という。ケヤキについては博多港開発の負担で移設を行うが、庭石は寄付を受けたもの概説費用を負担することになる。

2)未活用のケヤキ・庭石の活用について
■ケヤキ
ケヤキについては専門家による評価により、2~3年以内に移設か着が可能なもの126本については活用を行い、残り131本については圃場において民間に売却処分するとしている。しかし、売却するものはほとんど価値がないもので、ただ同然の処分になると思われる。
活用先は博多港開発工区(開発緑地、住宅緑地)に84本、人工島中央公園、香椎浜公園に14本、香椎パークポート緑地に28本となっている。博多港開発工区には既に22本が移植されている。

■庭石
庭石は人工島の外周護岸に6,898トン、香椎浜北公園に370トン(既に設置工事中)、香椎パークポートに50トン、名島海岸に20トンとしている。これらの移動費用は市が負担することになり、新たに税金が2億2千万ほど投入されることになる。不祥事の後始末に新たな税金が使われることに怒りを覚える。