2006年12月1日(金)
請願審査:西区愛宕浜4丁目地区(マリナタウン)マンション建設反対について
この案件は議会での質問、委員会での質問が既になされてきた。請願示唆に当たり、他議員の質問に市は隣接住民に対する説明が足りなかったので申し訳ないと答えた。しかしことの本質は、市が決めた都市計画に基づき埋立が行われ、まちづくりが進められたことについての責任である。建築協定は将来にわたり良好な住環境を維持するために市の提案で進められた経緯があり、博多港開発が自らの都合で建築協定を廃止することを市が認めたことに問題の本質がある。また、博多港開発は市が51%出資する会社であり、市の方針で事業を進めていることからも、市の責任が重い。土地を高く売るために建築協定を廃止した博多港開発の住民を騙した責任はもっと重い。
また、建築協定を結んだときには協定委員会を設置することになっていたにもかかわらず、博多港開発は設置していなかった。このこと自体博多港開発が恣意的に協定を扱っていたことを示すもので、まさに市民を騙す行為である。協定委員会を設置していなかったことをいいことに博多港開発が建築協定廃止のとりまとめを行い、そのことについても市は何もチェックをしていなかった。この責任についても誰も取ろうとしていない。私は都市計画に対する責任、協定委員会を作らなかったこととそれを見逃してきたこと、これらの責任は誰が取るのかと詰め寄ったが、誰も返事しなかった。まさに役人の無責任体制の典型である。
もう一点は廃止時に出された同意書に「商業地として良好な環境を維持するため、今後とも本協定の趣旨を尊重いたします。」と書かれてあり、このことは現在にも継承されるのではないかと質した。市は、建築協定自体は10年が有効期間であり、10年経過後廃止されることもあり、時効であると答えている。しかし、通常特段の事情がない限り継続されており、またマリナタウンについてはそもそもの都市計画の一環として建築協定が結ばれており、時効とはもってのほかである。自分が作った都市計画を自分の都合で廃止する行為は、市に対する市民の信頼を根底から揺るがすものである。このことに反省がないことが本質的な問題だと指摘した。
次に 最後に建築協定の趣旨を遵守するよう事業に強く始動することを求めた。住民は同意書の継承問題も含め法的な措置を辞さないといっている。
※因みにこれまでの経緯
愛宕浜は博多港開発が埋立を行い1987年に竣工、1987年から商業用地として売却し、1993年に高さ規制や用途について規制する地区協定を結んでいる。ところが、売却できなかった空き地にごみ等が不法投棄されるなど空き地の管理が問題となり、1997年に周辺住民から「老人憩いの家」建設の要望が出された。博多港開発として「老人憩いの家」を建設することにしたが、そのためには地区計画変更が必要であり、地権者全員の合意が取れないため、半数以上の地権者の同意で1998年に廃止することとしたということである。地区協定では派出所など公共に必要なものであれば建てることが出来ることになっていたが、集会所は公民館等と同じ機能であるため該当しないとして、地区協定の改定が必要ということになったというのである。しかし、地区協定が廃止される例はなく、10年といういう締結期間が終わったときに廃止された例はわずだがあるといことである。
ここで問題なのは、集会所機能が公共のものに該当しないという判断の機械的であり疑問が残る。むしろ、開発業者の利便を図るために廃止したのではないかと疑われる。川崎市や国土交通省では老人憩いの家は福祉施設と認定しており、協定を変える必要がないとしている。売却されていた区画の所有者に福岡銀行の子会社の福岡商事が所有する区画があり、埋め立て竣工後10年を経過して土地利用の変更が可能になったために、福岡商事が地区協定を廃止することで土地を高く売ろうと考え、博多港開発が便宜供与したということである。
また、地区協定の廃止の際には建築協定委員会を設置しなければいけないにもかかわらず、委員会を設置せずに博多港開発を代表者とする同意書を取り、手続きを進めている。良好な商業地区を維持するためには協定廃止ではなく、変更の努力をすべきであった。また、同意書には「商業地として良好な環境を維持するため、今後とも本協定の趣旨を尊重します」と書かれており、廃止後、再度地区協定を結ぶべきであったが、なにもしていない。一部地権者(福岡商事)の意向をくみ、高層建築物が建てられるようにしたのである。
商業地区に隣接する住宅街では建築協定が結ばれており、地区協定廃止時点で住民への説明がキチンとされていないことが問題となっている。市としては今後、隣接住民には法的な責任がなくても説明が必要と答えているが、博多港開発のモラルが問われる。また、市の都市計画の管理が問題である。
愛宕浜地区のこの問題については、総会質疑で市長は高層マンションを計画している事業者に強く指導すると答えている。