オリンピックはスポーツの祭典、平和の祭典といわれているが、その裏側は金まみれの闇の世界である。「世界最大のスポーツショウ」といわれるオリンピック、一般の市民が思い描くよう「スポーツの祭典・平和の祭典」のイメージに乗っかかり、IOCが放映権等の巨大な利権を食い物にして競技規模を拡大してきた構造は今も変わらない。ソルトレイクシティ冬季大会誘致におけるIOC委員の巨額な贈収賄事件、その後もIOCの体質は変わっていないといわれる。ソウルオリンピックでも、金と女で買収しなければ誘致できないといわれている。長野オリンピック誘致でも同じように巨額の贈収賄が行われた。
利権の構造は開催都市にもある。堤義昭氏の国土開発に象徴される長野誘致に伴う開催地の利権の構造は福岡市にもある。山崎市長は本日の記者会見で、市民に賛否を問うことはしないと断言した。多額な税金が使われるにもかかわらず市民の声を聞かないということは、何がないでもオリンピックを招致し、人工島事業を継続させ、臨海部の再開発を進めるというものである。磯崎氏がオリンピックの会場を博多湾にすると言っていることは「海に開かれたアジアの拠点作り」いう桑原前市長の都市膨張政策・開発優先の政策と全く同じである。
「引き返す勇気を持って見直す」という公約を破り、「誘致するだけならお金はかからない」といって次々をお金を使い(既に4900万円使い、18年度予算委は招致費として1億数千万円を予定)、コンパクトなオリンピックといって、人工島をはじめ臨海部の大開発を計画している。「銀行に破損をさせない」と念書を書き、損失保証を実行して市民を騙し多大な借金をつくってきたことに加えて、「福岡市の財政はかってなかったほど厳しい」(財政局長)にもかかわらず、大開発を始めるというのである。平成11年の財政白書では「市の施設の維持管理費が年間100億円を超えており、市財政に大きな負担をかけている。今後箱ものは作らない」と言っていることとどのように整合性を持つのか。市民を顧みずに、市長の身の保身をもとめ、ゼネコン、銀行、デベロッパーのために大開発に着手するということだ。そのために国に顔がきく元九州地方整備局長をオリンピック関連の開発専任担当として3人目の副市長にするというのだ。まさに先祖返りというよりも時代錯誤としかいいようがない。経済社会構造が大きく変化し、今後バブル経済のような状況は考えられず、少子高齢化の更なる進行、やがて来る人口減少時代をどう見据えてものを考えているのか。目先のゼネコン、銀行、デベロッパーの利益しか考えていない。こんな市長を許して良いはずはない。
オリンピック開催にいかにお金がかかるか!
1、長野オリンピック(公表されたもの)
招致経費 収入19億5千万円
長野県 6億円 長野市・山ノ内町・白馬村 2億3千万円
総事業費 5681億5千万円
競技施設等建設費 1066億円
大会運営施設費 658億円
関連道路建設費 2873億円
大会運営費 1088億円
施設建設費 9施設 1066億円
国 515億円 県296億円 市町村255億円
大会運営施設費 658億円
国 192億円 県270億円 市 196億円
オリンピック村 271億円
国 64億円 県 86億円 市 121億円
メディア村 239億円
国 55億円 県 184億円
メインプレスセンター 42億円
国 14億円 市 28億円
開閉式会場 106億円
国 59億円 市 47億円
施設の維持管理費 長野市内年間約16億円 県全体年間約25億円
※公表された事業費以外に北陸新幹線建設費約8400億円、高速道路建設費約6800億円を入れると2兆円を超える。
※これらの数字は表に出たもので、県職員や市町村職員の人件費等は含まれていない。
※IOCとの接触にエージェントがいたと言われ、多額のお金が使われているが、招致活動委員会の帳簿は故意に消却され実態がわからなくなっている。
※事業費は図書公表されたものの約2倍となっている。
2、大阪市オリンピック招致委員会の報告より
事業計画 大阪市負担
競技施設整備(スタジアム等) 1320億円 930億円
住宅整備(オリンピック村・メディア村) 1101億円 110億円
進行中の都市基盤整備 2兆5965億円 2421億円
関西空港 1兆5600億円 586億円
阪神高速道路 6367億円 398億円
計 2兆8386億円 3481億円 (12%)
招致の経費 47億9千万円 大阪市負担 11億円
3、札幌市の見積もり
国等その他負担 札幌市負担
競技施設建設費 1,898億円 559億円 1,339億円
選手村・
メディアセンター建設費 1,985億円 1,786億円 199億円
交通網など
関連施設整備費 1兆365億円 9,401億円 964億円
大会運営費 4,016億円 4,016億円 0
招致経費 64億円 16億円 48億円
合計 1兆8,328億円 1兆5,778億円 2,550億円
大会後の
施設の維持管理費 215億円 109億円 106億円
4、2004年アテネオリンピック(ギリシャ財務省発表)
総事業費 90億ユーロ(約1兆2150億円) (1ユーロ:135円)
競技施設等 21億5300万ユーロ(約2906億5500万円)
運営費 17億5200万ユーロ(約2365億2千万円)
社会資本整備 28億6100万ユーロ(約3862億3500万円)
警備 10億8千万ユーロ(約1458億円)
※これには新空港建設、高速道路網、郊外線、地下鉄先進など交通網整備などの費用は入 っていない。電車関連だけでも 13億ユーロ(約1755億円)。これらを含めると総事業費は約110億ユーロ(約1兆4850億円)となる。
オリンピック開催後の施設の維持管理費は年間約8千万ユーロ(約108億円)
5、平成7年ユニバーシアード福岡大会
施設整備 国その他負担 福岡市負担
陸上競技場(増改装) 14億円
球技場(新設) 105億円
テニスコート(新設および増改築) 60億円
小計 180億円 9億円 171億円
市負担の内市債 123億円
早良体育館 33億円
西体育館 24億円
総合西プール 96億円
小計 153億円 7億円 146億円
市負担の内市債 87億円
マリンメッセ 297億円 297億円 市負担の内市債 206億円
総計 630億円 16億円 614億円
市負担の内市債 416億円
ユニバーシアード大会後の維持管理費
平成8年~16年まで 約80億円、利用料金は約16億円(マリンメッセは除く。)
維持管理費を使用料で賄えないだけでなく、当然建設費の償還はできない。マリンメッセも建前上は維持管理費は営業活動で賄っているとなっているが、建設費の償還はできていない。