ごみ処理有料化中止の請願

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ごみ処理有料化中止の請願
ごみ処理有料化中止の請願

3月議会でごみ処理有料化する条例改正案が提出されています。ワーカーズ・ごみ問題研究会と東区のごみ問題を考える会で、ごみ処理有料化中止を求める請願を福岡市議会に提出しました。ごみ有料化だけではごみ減量は進みません。分別収集の仕組みがまず必要であり、また有料化するにしても、佐世保市のように平均的な排出量を超えた人に負担させる仕組みでなければ公平性と効果は期待できません。
以下、請願を載せます。

福岡市「家庭ごみの有料化」の中止を求める請願

ワーカーズ・ごみ研究会
代表 片山純子

東区のごみ問題を考える会
代表 岡部博圀

請願主旨
福岡市は、昨年12月配布の広報誌で「家庭ごみの有料化」の実施を告知しました。この
「家庭ごみの有料化」の導入については、同じく昨年12月、市が発行した報告書「循環のまち・ふくおか基本計画」に、その理由を次のように述べています。
「循環型社会を構築していくうえでは、市民一人ひとりがごみ問題を自らの問題としてとらえ、それぞれが役割を果たすことが重要であり、ごみの排出者として発生抑制や循環利用に努める必要があります。また、現在、家庭ごみについては、その処理が全て税金で賄われており、ごみの排出量に応じた負担となっていないため、ごみ減量・リサイクルに熱心に取り組んでいる人にとって不公平な面があります。そこで、ごみの排出者としての役割を果たすとともに、負担の公平性を確保し、一人ひとりが発生抑制・循環利用の行動を起こすきっかけをつくるために、家庭ごみの有料化を行います。」とあります。
この中で、現状のごみ処理負担が公平でないと指摘し、その是正のための有料化であると説明していますが、これに、たいへん疑問を抱いております。現行のごみ分別の、問題点の見直しがなく、また、循環型社会への“きっかけづくり”だけのために、市民から手数料を徴収して良いのか。その根拠は何かなど、納得できる説明がないままの導入は、容認できません。
したがってここに、「家庭ごみの有料化」に対し、中止を求める要望書を提出します。
もともと、ごみ処理は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第6条二に規定されているとおり、市町村の行うべき義務として、その処理は税金で賄われています。しかし、近年のごみ増加は、市町村の負担となって税制を圧迫していることから、「有料化」によるごみ減量を期待して、導入をした市町村も多いと推測します。しかし、その成果はさまざまで、導入時だけは一時的にごみが減ったが、その後は増加したケースがあります。その一例として、福岡市が有料化を実現した町と推奨する、佐賀県佐賀市や東京都青梅市では、今やごみの増加に苦慮しています。
「家庭ごみの有料化」の効果については、もっと情報収集をして分析する必要があります。一時的な効果だけを評価し、拙速に負担を強いる有料化は意味をなしません。今、最大の課題は、ごみの減量をどう実現するかにあります。
福岡県久留米市(合併前・当時、人口23万人)では、平成5年に指定袋制度を導入しました。その結果、一時的なごみ減量となりましたが、平成10年にごみの17分別に切り替えたことで、さらに市民意識の向上が進んだと聞いています。また、人口220万人の名古屋市では、最終処分場の立地難などの問題から、“ごみの分別”を立て直したところ、23%のごみ減量を達成しました。その結果、埋立量の半減につながっています。
その他、有料化ではなく、ごみの分別で効果をあげた事例は各地にあります。これに対して福岡市は、ごみ分別の細分化は、経費がかかりすぎるといいます。果たしてそうでしょうか。焼却施設の建設に多額の経費がかっていることを考えれば、初期の経費が必要としても、将来に備えるしくみに投資する方が賢明と判断します。
現在、福岡市では、一日約2,110トンのごみを、市内4ヶ所の施設で焼却します。
その処理能力は、3,050トン/日です。今でも十分な処理能力を保ちながら、さらに、今年度建て替えが完成する東部工場は、これまでの処理能力を300トン上回ります。そこにさらに、南部工場の建て替えも宣言されるなど、過剰な施設計画に危機感を抱きます。
一施設の建設費に、数百億単位の税金が使われています。有料化ではなく、ごみの分別の見直しによるごみ減量が実現出来れば、この無駄な施設は不要になります。税収入の厳しい時代において、ごみ処理に対する税金の使い方については、根本から見直す必要があります。
以上のような理由から、単に“きっかけづくり”のために行う「家庭ごみの有料化」は、予算措置を検討する意味もないと判断します。また、高齢者層に対しても、若年層に対しても負担の多い仕組みでしかありません。即刻、中止してください。
次に、有料化の“法的根拠”については、昨年9月14日に、「家庭ごみの有料化 実施計画の中止を求める要望書」を提出しましたが、いまだ納得がいく回答は出されていません。
1999年までは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第6条二の6項に“条例で定めるところにより、手数料を徴収することができる。”と明記されていましたが、その後、その項目は削除されました。
現在、手数料に関しては、地方自治法第227条《手数料》に、《普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる》と書かれています。例えば、「粗大ごみ」の有料化や、通常の量を超えるごみ量について、排出する市民から超過分の手数料をとることについては理解も出来ます。しかし、住民の全員または大半から手数料をとる「ごみ有料化」は、基本的に違法ではないかと考えます。
それに対して、福岡市は、昭和41年の金沢地裁の判決文を持ち出し、“有料化が合法”と断言します。
しかし、この判決文は、①土地、建物の清掃や清潔の義務、②廃棄物の自家処理のすすめ、③市町村が行う処理への協力など、市民の義務を例示してはいますが、通常の家庭ごみについて全世帯から手数料を取ることを、認めているのでしょうか。ダイオキシン等の問題で自家処理等が禁止されている今日、有料化が妥当とする判断には適用しがたい判決内容と解釈します。
このように「家庭ごみの有料化」は、法的裏づけがなく、ごみ減量の効果も薄く、負担のみ多いことから、即刻中止されることを求めます。
これからは“有料化の強行”より、まず“分別の見直しによる効果”を最大限に活用しつつ「拡大生産者責任」を具体化する政策に転換してほしいと願っています。
この3月議会で、しっかりとご審議いただきたく、ここに請願書を提出いたします。

請願事項
1.「家庭ごみの有料化」に関する予算措置を中止してください。

2.ごみの分別の見直しを最優先の課題として、現行の政策を、ごみ減量が達成出来るしくみに変えてください。

3.過剰な施設計画を止めた費用を財源に、環境教育を充実し、ごみ減量を実現出来るしくみを再構築してください。