昨年暮れの12月27日に公共工事不正再発防止特別委員会が開催されました。当時のケヤキチームの内、管理職6名が参考人として出席しました。しかし、文書管理をしていたといわれる総務部長など関係者全ての出席でなかったこと、特にケヤキの鑑定に関与したコンサルタント会社、福岡県樹芸組合連合会、日本造園建設協会九州・沖縄支部、庭石の鑑定に携わった社団法人造園建設業協会福岡支部、日本地検株式会社の出席がなければ真相解明は出来ないと考えられます。市長以下市としての再発防止の対策を縷々述べていますが、真相解明と責任の所在を明確にしない限り絵に描いた餅です。特に市長の認識の甘さは問題です。本日14日(金)に博多湾会議で、市長が組織的多量の文書廃棄について「問題がない範囲である」と発言したことについて申し入れをしています。(文は議長への申し入れの後に掲載)
真相解明には、再度関係者全員の出席をもためて特別委員会を開催する必要があり、議長及び特別委員会委員長に公共工事不正再発防止調査特別委員会開催を求めました。
以下議長及び、特別委員会委員長に提出した申入書です。内容は同じですので、議長宛の文書のみ掲載します。
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2005年1月14日
公共工事不正再発防止調査特別委員会を再度開催することを求める申し入れ
福岡市議会議長 川上義之様
福岡市議会議員 荒木龍昇
議長のご尽力により、昨年12月27日に公共工事不正再発防止調査特別委員会が開催れました。小塩元常務外5名の参考人が出席され、ケヤキ庭石裁判における検察官冒頭陳述で示された新たな事実について真相解明するための質疑がなされました。残念ながら貴重な時間を割いて開催されたにもかかわらず、真相解明が出来たとは言い難いものでした。その理由としては、関係者が全て出席したわけではないこと、質疑の時間が十分ではなかったと考えています。また出席した参考人の多くも協力的だったとは言い難い状況でした。
特に、文書の大量廃棄について一体誰が指示したのか、どのような文書がいつ廃棄されたのか、ケヤキの評価の改ざんはどのような経緯でなされたのか、など未だ多くのことが不明であり、責任の所在も明確にされたとは言い難い状況です。12月27日に出席した参考人以外の関係する市職員ならびに博多港開発職員、コンサルト会社、福岡県樹芸組合連合会、日本造園建設協会九州・沖縄総支部の関係者を招致して質疑が必要です。
このまま事件をうやむやにしてしまうことは、議会に対する市民の負託に反することと考えます。大変お忙しいこととは存じますが、上記の関係者を参考人として招致して公共工事不正再発防止調査特別委員会を再度開催しますよう求めます。
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2005年1月14日
不審な博多港開発株式会社の文書大量廃棄についての公開質問状
福岡市長 山崎広太郎殿
博多湾会議
事務局長 脇 義重
福岡市東区奈多1-6-13
昨年12月28日付の夕刊紙面は人工島へのケヤキ・庭石問題に関連した市民として納得できない市長発言を掲載しました。新聞は「28日の記者会見で市の第三セクター博多港開発㈱の元常務らがケヤキ・庭石事件発覚後に大量に文書廃棄をしていた件について『現在進行している裁判で何が廃棄されたかが指摘されているわけでなく、裁判に影響していない。』と延べ『今回の文書廃棄は許される範囲と思う。』と述べた。」と報道しました。しかし、同紙が後で記しているように、山崎市長は同社社長として同文書廃棄を「不適切な行為」として元常務ら複数の幹部を処分していますから、辻褄があいません。
現在、ケヤキ・庭石問題は商法の特別背任罪事件として福岡地方裁判所に係属中です。10月にあった初公判では、検察は冒頭陳述で博多港開発㈱の組織ぐるみの文書廃棄を指摘しています。そうした中での山崎市長のかかる発言は当該事件を告発した当事者としてあるまじき行為であると言わざるをえません。また、山崎市長は2003年2月20日に博多港開発㈱の社長に就任しました。検察が裁判の冒頭陳述で特に指摘しているのは2003年3月の文書大量廃棄です。元常務らを処分しましたが社長としての監督責任は明らかにされないまま現在に至っています。
ケヤキ・庭石問題は福岡市役所内で起こった汚職事件であり、市民を裏切った行為であるということを福岡市長は認識されたうえでかかる発言をしたのか、そのことを知る必要があります。そこで、下記について博多港開発㈱の社長でもある山崎市長に質問しますので2005年1月24日までに文書にて回答を上記連絡住所にお送りください。
記
1.商法の特別背任罪を裁く現在係属中の事件に関係し、裁判の行方を左右しかねな い博多港開発㈱の文書を大量廃棄したことは意図的な証拠隠滅にならないのです か。
2.今回の文書大量廃棄について、博多港開発㈱社長として市長は監督責任をどのよ うに自覚し、責任をどうとるつもりですか。
3.「不適切な行為」として社内処分をした文書廃棄を、どうして「許される範囲と 思う。」とする見解に変わったのですか。
4.特に、検察冒頭陳述で指摘された2003年3月にはどのような文書が廃棄され たのですか。
5.博多港開発㈱の文書取扱規程は2003年4月1日に改定されています。6月に 文書大量廃棄が行なわれています。文書保存期間についてどのような改定が行なわ れたのですか。
6.ケヤキ・庭石事件の真の解決は人工島事業中止しかない思いますが、その考えは ありませんか。
(補足)公開質問状を提出した理由
ケヤキ・庭石事件は博多湾人工島を舞台に起こりました。国と福岡市の公共事業と第3セクターによる行政代行が市民に福利を約するものとして始められながら、その実、一部の政界や行政そして開発業者の利権を潤すだけの事業になってしまっている現状を端的に示しました。博多湾人工島という公共性実現のためのこの事業が食い物にされたのです。さらに人工島直轄化により、市民は福利を得るどころか第3セクター博多港開発㈱の事実上の破綻のつけをまわされ、市民生活にしわ寄せされています。
市民が陥ったこのような惨状を作り出したのが、山崎市長なのです。市長就任以来3度行なわれた人工島見直しを単なる数字合わせだけに終らせ、中止も含めた根本的的な見直しをすることなく、人工島事業を継続したことが今回の組織的証拠隠滅工作である文書大量廃棄を容認する発言に繋がっているのです。ケヤキ・庭石事件の根本的な解決は、汚職と腐敗だけを生む、無用の公共事業としての人工島を即刻中止し、市民生活を圧迫してなお、借金財政を脱しきれない福岡市の現状を直視することから始められるべきです。