奈多海水淡水化施設見学
2004年11月24日(水)
海水淡水化事業が来年4月から始まる。施設は海の中道旧道に入る管制施設のそばにある。逆浸透圧法による淡水化施設である。最大日量5万トン、計画では7、8,9月に5万トン/日、その他の月は4万トン/日の計画という。奈多淡水化施設から多々良浄水場へ送水、ブレンドし下原配水池へ送水。
淡水化の流れは、①沖合640mにところで、水深11mの砂の層1.5m、礫層1.45のところに径600㎜のポリエチレン製パイプを埋め、浸透水を取水。②UF膜で細菌やバクテリアを濾過、③高圧逆浸透膜で塩分を濾過(60%淡水化)、④低圧浸透で2次処理(季節による水質の変動を安定させる)、⑤濃縮海水を和白水処理センターの処理水と混合して博多湾(人工島の西端付近)に放流(塩分濃度3.3%→7.2%、放水量4万2、3千トン/日)。
造水コストは、国の補助金も含めて220円/m3 (計画は230円)、筑後川導水の造水コストは130~150円/ m3 ということであるが、その差はもっと少ないという。造水コストは建設費(国補助1/2)の償却費、電気代(年間8億数千万円、全体の1/4)、浸透膜(2億4~5千万円)。膜のメンテ難が造水コストに大きな影響が出る。メーカーとは、UF膜と低圧浸透膜は年間20%の交換、高圧浸透膜は15%の交換(膜の寿命は5年間)15年間の保障となっているという。電気代は産業電気は安くなっているため、競争入札をする事業はないという。ピーク時の使用を減らし夜間に増やすことで出来るだけ安くなるよう交渉中ということであった。水道料金は当分値上げしないよう検討中ということである。
基本的には80%以上の稼働する計画で、水が余っていて求められない構造となっている。膜を使用しない状況では、膜は保存液で保存しなくてはならず、稼働させなくても膜の痛みは変わらない。電気料金も最大使用料で基本料金が決まるため、稼働させてもさせなくても負担は変わらない。稼働させた方が膜のメンテナンスが出来るため、80%以上の稼働となっている。まさに原子力発電所と同じような構造になっている。
福岡市の水は余っている。現状での造水能力は75万トン/日、危険率70%として52.5万トン/日、一方使用料は最大45万トン/日、平均40万トン/日である。よほどの渇水が続かない限り問題はない。さらに、五ヶ山ダム、大山ダムができればさらに余裕が出る。改めて淡水化が必要だったのか、100歩譲って、淡水化をしたならどうして五ヶ山ダム、大山ダムの見直しをしなかったのか、都市膨張政策を進める福岡市の都市政策の問題が見えてくる。高い水を作り続けなければ行けない、エネルギーを浪費し、環境負荷を高める淡水化事業、福岡市政の失政である。