意見開陳後、決算特別委員会としての採決が行われた。12月議会で、分科会の委員長報告後採決される。
意見開陳
議案第135号ないし138号、議案143号、議案148号ないし151号、議案154号、議案155号に反対して意見開陳を行います。
いま最重要の課題は、財政問題です。国も破綻する、そして福岡市も破綻する、これが現実味をおいてきているいまだからこそ、財政再建をどうするのかが議論されなければなりません。財源が付かない政策は絵に描いた餅でしかないからです。いま、福岡市における財政問題の中心は財政を根幹から揺るがす破綻した人工島です。直轄化して事業継続するのではなく博多港開発の清算と埋立事業中止が必要なのです。
財務省によると04年6月時点での国の借金である国債、借入金、政府短期証券の合計残高は729兆円、地方の借金は200兆円といわれ、特殊法人などの隠れ借金を併せると国民の借金は1000兆円を超えるといわれています。いまや、国民の借金は赤ちゃんからお年寄りまで一人800万円を越えており、4人世帯では3000万円を越えるというとてつもない借金を抱えています。今年度の国の一般会計は、歳入約81兆円のうち税収は約42兆円、50%をわずかに超える程度しかなく、借金を増やし続ける自転車操業の破綻状況です。
小泉内閣は三位一体の改革として、3年間で補助金4兆円を削減し同時に削減額の約8割を税源移譲するとして、04年度は1兆2千億円の地方交付税が削減されました。福岡市は今年度予算では120億円の地方交付税削減となり、115億円の基金を取り崩しました。財政調整に使える基金は92年の942億円をピークに減り続け、いまやわずか67億円となっています。国は地方財政計画において地方交付税は今後も減らし、地方単独の投資経費を90年ないし91年の水準まで減らすとしています。三位一体の改革が進めば、地方の財源は東京都以外は減るといわれていいます。さらに、財務省では次年度は地方交付税を4兆円削減、地方財政計画を6~8兆円削減すことを検討しているという報道がなされています。このまま実施されれば大変な事態になり、税源移譲がなされたとしても、地方財政は困難な事態に陥ることは明らかです。経済状況が好転したといわれていますが、雇用なき成長が続き今後とも税収が増えていく見込みは極めて厳しく、財政はいっそう厳しくなることは明らかです。
市長はプライマリーバランスを黒にしていると常々いっていますが、プライマリーバランスを黒にするだけでは借金は減りません。過去の借金があまりにも大きいために、その金利を払わないといけないために借金は雪だるま式に増えています。一般会計において新規起債額は元金の償還額を300億円ほど上回っており、この分が借金となっています。いまのままでは借金を返せないどころか、将来の世代に大きな負債を残しことになります。福岡市の3会計(一般会計、特別会計、企業会計)の起債残高(いわゆる借金)は2兆6500億円、市民一人あたり198万円で、昨年度よりも4万円も増えました。止めようがない借金の膨張と財源の縮減に対して、人工島計画を抜本的に見直しをしない市政経営改革プランで対処できるのか、極めて疑問です。
福岡市は中期財政見直しでは3年間で200億円の財源不足を見込んでおり、歳出抑制と増税策を打ち出しています。しかし、この中期見通しには人工島直轄化や人工島への新病院移転、地下鉄の接続などの予算は見込まれていません。厳しい財政状況では、選択と集中が必要であり、政策決定のあり方が重要になります。少子高齢化が進み、医療、福祉の充実が求められている中で、限られた財源を市民のために有効かつ効果的に使われているのでしょうか。30人学級の実現、小中学校に司書を配置してほしい、図書館や児童館を造って欲しい、留守家庭子ども会を充実してほしい、特別養護老人ホームホームを増やして欲しい、このような多くの市民の願いはどのように扱われているのでしょうか。政策推進プランにはこの市民の願いは反映されていません。市民と行政の協働という言葉で、本来福岡市がすべきことを市民に負担させようとしています。受益者負担の適正化、公平性の確保ということで、増税しようとしています。市民には政策決定過程が見えてきません。このような厳しい財政状況で、使用料や、手数料の値上げ、ゴミ処理料の有料化など市民に負担を求めていますが、市民に負担を求める前に、タラソ福岡のような無駄な施設を買い取るようなことは止めるべきであり、まして破綻が明らかな人工島にこれ以上税金を使うことは許さません。
9月議会では家も建っていない、人も住んでいない、まして子どももいない人工島に学校用地購入の補正予算が出され可決しました。多くの議員の指摘のように、家も建っていないところに学校用地購入するというデタラメなことをしなければ博多港開発を救済できない現状は、博多港開発が破綻していることを物語るものであり、かつ人工島計画の破綻を示しています。それは博多港開発工区だけではなく、市工区でも5千万円の報奨金をつけても未だ企業が進出しない現状、臨海整備特別会計そのものが破綻しようとしている中で、直轄化するという無謀な政策が許されはずはありません。
財政健全化プランでは公共事業評価の導入について、「必要性や優先度、費用対効果について客観的な検討を行うことにより事業選択の透明性を高めながら重点化していくことが重要です」としています。必要性や優先度、経費対効果、どれを見てもいまなぜ人工島なのか、その理由は見あたりません。失業率5%と厳しい雇用情勢は今後とも続くと考えられ、とりわけ若年層の失業率は10%、若年層の雇用対策が大きな課題です。土木・建築への投資よりも福祉・教育への投資の法が雇用効果は大きいことは既に明らかです。国の施策を待つだけではなく、働く場をつくるために、福岡市として何が出来るのか、真剣に考える必要があります。いま、人工島に血道を上げることは許されないことは誰が見ても明らかです。国が破綻しようとしており、地方に政策失敗のツケを回そうとしている今日、これまでの膨張政策を転換し市民生活を守るために全力を尽くさなければなりません。安心してして暮らせる街こそが、福岡市を豊かにします。
よって、責任の所在を明らかにするために博多港開発を会社精算し、市民に借金を押しつける人工島直轄化を止め、破綻している人工島建設を中止しすることを求めて意見開陳を終わります。