決算特別委員会総会質疑3日目

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決算特別委員会13日(水)

1、人工島直轄化について(共産党の質疑を中心に経過を整理)

1)博多港開発は事業継続が可能なのか?
平成15年までに福岡市が博多港開発から購入した土地、道路用地42億円、公園用地126億円、16年9月補正予算で道路用地28億円、学校用地46億円、平成15年度までに道路、公園、下水道の整備に要した費用32億円、平成16年予算で、公園整備費、9月議会の補正予算で公園整備費12億円が支出される。その他緑化フェアの整備に福岡市負担として28億7千万円が予定されている。
博多港開発が平成16年度に返済しなければならない額は、NTTへ約4億円、日本政策銀行へ34億円、市中銀行へ103億円の計140億円。そのうち平成15年度の借り入れた48億円は長期の債権に切り替えられなかった為、16年度に借りた短期融資20億円とともに9月末日までに返済が迫られていた。平成16年度返済原資は9月補正予算の道路用地28億円、学校用地46億円(最終的には未定)による69億円を予定していた。残り71億円については平成16年度いっぱいに返済することで銀行団に了承を得ているという。1工区の残り販売予定は、博多港開発が九州住開発と共同で建築して販売する土地と高齢者住宅用地、残りの道路などの公共用地だけである。高齢者用住宅用地は来年の緑化フェアの駐車場として予定されており、販売は平成17年緑化フェア後となる。そのため、今年度は返済に充てる原資はない。このままでは福岡市が再び緊急貸し付けせざるを得ない。福岡市は、直轄化することで、銀行団に弾力的に融資をしてもらうよう協議するとしている。

2)土地張り付き約定返済
このような事態に至ったのは、2001年の新事業計画で計画偏したとき、返済契約が随意返済から約定返済となったことによる。しかも銀行の要求で土地の販売計画と返済額、返済時期を確定した約定返済、「土地張り付き約定返済」にしたことが資金繰りを苦しくした。銀行団は資金不足の事態も想定して、200億円の緊急貸付枠を福岡市につくらせた。港湾局長は、この時点でも充分やってけると判断したと答弁した。銀行の要求をのまざるを得ない状況だったのである。しかし、結果は地価の下落が続き、たちまち博多港開発は資金がショート、福岡市は87億円の緊急貸付をせざるを得なかった。その原因は、新事業計画におい手持ちかは上がるとして計画を立てていたことにある。当初から私たちが指摘していたように、現状を無視した無理な計画であったことが明らかとなった。

3)直轄化に対する国の対応
市は人工島直轄化について国と協議している。福岡市は国にそれぞれの時点でシミュレーションして説明をし、概ね理解を得ていると答えている。埋立の許認可の管轄である国土交通省の専門官は私たちの申し入れの場で、問題を感じているが地方分権一括法施行後、著しい違法行為でなければ国は許認可を差し止めることは出来ないと入っており、福岡市も直轄化の免許を買い取ることは同意させてようである。一方起債を許可する総務省は、①事業の採算性、②博多港開発のあり方、③銀行からの安定的な融資について懸念が出されている。福岡市は港湾整備特別会で行うと言うことで、一般会計からの持ち出しはないと説明している。国は、これ以上起債することに懸念から、市第4工区の凍結と15m水深の2バースの内1バースは10年間凍結する余に求めていると言われている。15m水深1バースについても国土交通省は次年度予算の内示を示しているが、財務省がまだ認めていいないという。スーパー中枢港湾の整備が先で、博多港は平成15年度で56万TEUだありスーパー中枢港湾の基準である100TEU/年を満たしていないことも予算が付きにくい状況にある。

4)直轄化して事業の採算性はあるのか?
では直轄化による採算性はどうなのか。直轄化するためには博多港開発に第2工区の埋立のこれまで要した費用を支払う必要がある。その額は400億円と答えている。さらに埋立事業を進めるために270億円が必要としている。では、収入がどれくらいになるか新事業計画(2001年見直し)ベースで見る。第2工区の埋立地は、72.9ヘクタール、住宅用地33.2ヘクタール、複合施設用地11.1ヘクタール、産業集積用地10.3ヘクタール、その他公共用地等18.3ヘクタール、そのうち処分可能用地は住宅地と複合施設用地、産業集積用地である。単価を住宅用地70,900円/㎡(積水グループに売却した価格)、複合施設用地115,000円/㎡(高齢者用複合施設の売却価格)、産業集積用地209,000円/㎡(新事業計画の平均単価)と仮定して計算すると、住宅地235.4億円、複合施設用地127.7億円、産業集積用地215.3億円、合計578.4億円にしか成らない。投資額670億円から差し引くと約90億円の赤字となる。さらに道路用地等は公共事業として支出される。その額はその他の土地82,500円/㎡(道路の購入価格)とすると、151億円になり、赤字90億円を加えると240億円もの税金を支出することになる。これは埋め立てた土地が全て民間に売れたと仮定してであり、売れなければ福岡市が買い取ることになり税金はさらに使われ、市民の借金は増えることになる。採算がとれないことは一目同然である。
福岡市は街が成熟すれば地価は上がるとして、将来地価が上がることを前提に計画をつくってきた。しかし、地価は下がり続け、市街地でも下げ止まっていない。香椎パークポートも倉庫等事業所が進出してきたにもかかわらず、福岡市の売価は164,000円~166,000円/㎡から140,000円/㎡台に下げて売っている。街の塾度が上がれば地価は上がると言うことはない。埋立が終わり、販売時期はさらに少子高齢化が進み、人口も減り始める可能性が高く、土地需要はさらに見込めず、下落の可能性が高い。

5)港湾整備特別会計は大丈夫か?
港湾整備特別会計の03年度末の借入残高は993億円となっている。今後の元利返済計画は04年度87億円、05年度142億円、06年度167億円、07年度71億円となっている。03年度の港湾特別会計は歳入は臨海機能整備事業(港湾使用料等)29億円、臨海都市整備事業(造成地の売却)72億円、基金の取り崩し72億円となっている。港湾整備特別会計の歳入は港湾設備の使用料等と財産処分(土地の売却等)しかなく、港湾設備使用料等はここ数年間ほぼ29億円程度で推移している。そうすると、今後銀行への返済を進めるためには、04年度には58億円、05年度には113億円、06年度には138億円、07年度には52億円の土地売却収入が必要となる。しかし港湾特別会計で処分可能な土地は福岡市第2工区の竣工した土地133,000円/㎡として49億円、その他を併せても370億円分しかない。これで新たに670億円を起債するとしたら、全く返済のめどが立たず、一般会計からの繰り入れをするしかなくなる。市工区の土地は今年全国の不動産業者に1件5000万円を上限に、契約成立時に報奨金を払うことで販売依頼をした。しかし未だに購入の動きはない。埋立地はもはや必要とされていない。
港湾局長は、最も償還額が大きい05年の返済分の55億円と06年の返済分の40億円については、94年及び95年度の外周護岸整備に借り入れしたもので10年償還の臨海債であり、30年償還に切り換えを許可してもらう。港湾施設使用料の増収を図る、基金を活用する、資産を処分するとしているが、百道浜、地行を含め処分できる残地は少なく、基金も後140億円しかない。このままでは臨海整備特別会計も破綻することは明らかである。

6)博多港開発清算声が相次ぐ
もはや博多港発は事業能力がない、倒産状態であることは明らかである。市も答弁で現状では事業継続が出来ないことを認めている。しかし、人工島は福岡市の将来に必要であると漠然とした理由を挙げて、長期的に安定的に事業を行うために直轄化は必要と繰り返し答弁している。人工島による経済効果や、雇用効果を挙げているが、香椎パークポートは経済波及効果2兆円と試算していたが未だに土地の3分の1は売れていない。計画の半分しか実現できなかった百道浜の例などを見ても、市が推計する経済波及効果がいかほどか推して知るべしである。福岡市のおいても、土木・建築よりも福祉関係の方が雇用効果が多きことは福岡市の試算でもでも明らかである。
銀行の貸し手責任を取らせるために、博多港開発を清算すべきという声は私だけでなく、この日質問した共産党、また与党の民主党、自民党の質疑からもでている。博多港開発を清算することについては、福岡市内の経済や雇用に大きな影響を与える、また箱崎地区などの埋立を継続していることなどを挙げて存続させるとしている。しかし、要は銀行が博多リバレインの轍を踏まないと強固に主張しているのであり、銀行の言いなりになっているだけである。市民のお金でもって、銀行の損失の穴埋めをするもの以外何ものでもない。しかし、会社清算は銀行と市長外計画遂行者に対して責任を問うためのものであり、直轄化の免罪符にしていいけない。まして、直轄化後の会社清算という議論にしては成らない。あくまでも博多港開発の会社清算と同時に、直轄化を止めて人工島事業そのものを中止することである。

2、私の市政経営改革プランについての質問
私の質問時間は質問だけで12分しか出来ず、十分な質問は出来なかった。しかし、いかに福岡市の財政状況が危ういものか、そして人工島に税金をつぎ込むことの問題は指摘出来たと考える。

1)「三位一体の改革」の影響は今後起き久成る。
財務省によると04年6月時点での国の借金である国債、借入金、政府短期証券の合計残高は729兆円、地方の借金は200兆円といわれ、特殊法人などの隠れ借金を併せると国民の借金は1000兆円を超えるといわれている。国の一般会計は、歳入83兆円の内税収は42兆円、50%をわずかに超える程度しかなく破綻状況である。小泉内閣は三位一体の改革として、3年間で補助金4兆円を削減し同時に削減額の約8割を税源移譲するとし、04年度は1兆1千億円の地方交付税が削減された。福岡市は04年度予算では120億円の地方交付税削減となり、115億円の基金を取り崩した。財政調整に使える基金は92年の942億円をピークに減り続け、04年度見込みではわずか67億円となっている。国は地方交付税は今後も減らし、90年ないし91年の水準まで減らすとしている。同時に税源を移譲するとしているが、三位一体の改革が進めば、地方の財源は東京都以外は減るといわれている。そこで、三位一体の改革による影響について質問した。
財政局長は現時点では、地方6団体の意見等もあり11月までは今後の具体的方針が示されていないのでわからないと答えた。しかし、確実に財源が減ることは明らかであり、よりいっそうの厳し財政状況になる。

2)借金は今後も増え続ける
さらに市長はプライマリーバランスを黒にしていると常々いっているが、プライマリーバランスを黒にするだけでは借金は減らない。一般会計で見ると、金利を払わないといけないため、新規起債額は元金の償還額を300億円ほど上回っており、この分が借金となっていく。福岡市の3会計(一般会計、特別会計、企業会計)の起債残高(いわゆる借金)は2兆6500億円、市民一人あたり198万円で、この借金は増え続けることを財政局長も認めた。
福岡市は中期財政見直しでは3年間で200億円の財源不足を見込んでおり、歳出よう区政と増税策を打ち出している。借金をこれ以上増やさないためにはさらに300億円以上の削減が必要であり、財政局長はこれ以上急激な財政削減は市民生活や市の経済に大きな影響を出すので出来ないと答えた。このような厳しい財政状況で、使用料や、手数料の値上げ、ゴミ処理料の有料化など市民に負担を求めている。市民に負担を求める前に、タラソ福岡のような無駄な施設を買いと得るようなことは止めるべきであり、まして人工島に税金を使うことは許されない。

3)一定規模の支出をともなう事業は市民の直接投票で合意を得るべき
厳しい財政状況では、市がいうように選択と集中が必要であり、政策決定のあり方が重要になる。しかし福岡市は政策評価や公共事業評価を予算に反映させるの仕組みが不透明であり、市民の評価を受ける仕組みはない。このままでは借金は増え続け、将来の世代に大きな負債を残すことになる。厳しい財政状況で、これ以上人工島に税金を使うべきではない。
効率的・効果的な財政運営を行うためには、一定規模の財政支出をともなう事業について、住民投票すべきであり、特に700億円もの支出をともなう人工島直轄化につては市民合意を確認するために住民直接投票すべきではないかと質問したが、議会との菅家もあり伸長にすべきという回答しかしなかった。政策的な間違いがあっても誰も責任を取らない現状では、全て市民に責任が求められる。であれば当然市民に合意を求めるべきである