決算特別委員会8日(金)の質疑から
タラソについて質疑
タラソ福岡が11月31日をもって閉鎖することになった。その理由は大株主である大木建設が3月に民事再生法により倒産の手続きに入ったため、タラソ福岡の運営がこれ以上続けられなくなった為である。このタラソ福岡の倒産について2人の議員の質疑がなされた。問題点は以下の通りである。
そもそもタラソ福岡はどのようにつくられたのか。東区箱崎のもと貯木場を埋め立てたところに焼却場(臨海第4工場)が建設されるとき、地元住民の反対運動があり、地元住民が代償措置として地位の住民が自由に使える浴場と集会所の建設を求めた。福岡市これを逆手にとって、近くにあると屠畜場跡地の利用と併せてフィットネスクラブと海水を使った浴場を持つ施設を計画した。福岡市はPFIで事業をすることとした。応札企業が施設を建設し運営する、福岡市は焼却場から余熱と焼却場で発電した電気を無料を提供、15年間企業にサービス提供料を払う替わりに、15年後には施設を無償提供するというものである。入札を行い、フジタグループと大木建設グループが応募。フジタグループはサービス提供料17億円、大木建設グループはサービス提供料11億9千万円で応札し、福岡市は大木建設グループと契約した。連鎖倒産を防ぐために特別管理会社「株式会社タラソ福岡」をつくり運営することとなった。しかし、大株主の大木建設が今年3月に倒産したため、タラソ福岡も経営が続けられなかった。福岡市は契約により施設を買い取るとしている。
問題点
①そもそも入札の審査が問題ではなかったのか。大木建設は仕事ほしさに無理な契約をしたのではないか。
フジタグループはサービス提供料17億円、施設建設費8億円としていた。一方大木建設グループはサービス提供料11億9千万円、施設建設費12億6千万円という。フジタグループはこのような事業は使用料で収入を得ることは難しいと判断していたと思われる。ところが、サービス提供料よりも施設建設費が多いと言うことは使用料でかなりの収益を上げなければならず、無理な計画であった。当初から計画通りの収益が上がらず、大木建設が人件費を負担、さらに昨年リニュアールした費用も大木建設が負担した。大木建設が支援しなければ事業は成り立たない構造であった。
福岡市は入札の時点であまりにも差があるにもかかわらず、営業努力をするように意見をつけただけで大木建設グループを指名した。質疑の中で、見込みが甘かったことは認めているが、そもそもこのような施設が必要だったのか、この点にさらに問題がある。
②福岡市が施設を買い取らなければならない理由はどこにあるのか。
当初住民の要望は、地域のコミュニケーションを図る場としての住民がいつでも自由に使える余熱利用による浴場と集会室であった。ところが市は、屠畜場の跡地利用から、3号線に面しておりアクセスがよいので全市民が利用できる施設をつくることにしてというのである。しかし、フィットネスクラブを福岡市が運営する必要があるのか疑問である。福岡市は倒産により、契約上施設を買い取らねばならないとしている。公的に提供すべきサービル七尾で、サービスを提供し続けるために買い取らなければならないと言うが、公的に提供すべきサービスとは考えられない。買い取ることにより、福岡市は新たな経費が発生する。厳しい財政状況の中で買い取るべきではない。
③買い取り価格は8億5千万円としている。妥当な価格とは考えられない。
福岡市は全国で3番目、市としては初めてのPFIであり、高い授業料というわけであるが、買い取り価格そのものも適正な価格とは考えられない。契約により、建設価格の80%からこれまで払ったサービス提供料を差し引いた額となっている。建設価格の12億6千万円も大木建設の言い値であること、また8億5千万円の内銀行への返済は7億5千万円、残りの1億円が大木建設の債権となっている。経営責任を考えると大木建設に1億円を払うことはおかしい、また資金を募集のあり方も問題があった。
④連鎖倒産防止の機構が働かなかった。
PFIにおいて親会社の倒産により連鎖倒産が起こらないように別会社を作ることにしている。ところが、無理な計画であったため、当初から計画通りの収入を得ることが出来ず、大木建設が人件費を負担することで運営していた。大木建設が倒産したにより支援が受けられずに、閉鎖せざるを得なくなった。そもそもこの運営のあり方が問題であり、このような事態が予測されていたにもかかわらず価格だけで判断した福岡市の責任が大きい。
結論
そもそもこのような施設は必要なかった。風呂場と集会室だけであれば建設費9500万円で済み、運営費もさしてかからなかった。大木建設が仕事ほしさに無理をした、また市も大木建設のために不要な施設を計画したとしか考えられない。