2004年9月議会報告
会期 9月8日(水)~16日(木)
9月8日(木)
市長から議案の説明後、議案質疑に入った。今議会の主たる問題は人工島に小中一貫校を建設するための土地取得費用46億円及び建築設計費6600万円の補正予算であった。今回はこれまでで最も多い全会派から11人が議案質疑を行った。11人の議案質疑のうち、人工島に建設予定の小中一貫校建設用地取得及び建築設計費の補正予算に関する質疑を私を含めて7名が行った。次に大きな案件として、都市高速道路全面開通が平成17年予定であったものが7年遅れて平成24年になることへの同意議案について、4名が質問した。
人工島に建設する小中一貫校の用地取得費及び設計費の補正予算に関する問題は、
1、子どもがいないところにどうしていま小中学校を作らなければならないのか。今回の 用地取得は、博多港開発救済のためではないのか
2、用地費115,000円/㎡は高すぎる
3、なぜ小中一貫校なのか。議会でも議論されていないし、、教育委員会でもキチンと議 論してきたのか。
の3点であった。
まず、第一点の小中学校用地購入費補正予算についてである。そもそもこの用地取得は9月末日に期限が来る博多港開発が銀行団へ返済しなければいけない短期融資68億円(2003年借り入れ分48億円、2004年5月借り入れ分20億円)の財源として、今議会に補正として計上されている人工島の道路用地購入28億円とともに計画されていた。2004年度当初予算では計上されておらず、なぜ補正予算で計上されたのかという疑問が残る。
その理由は9月に銀行団への返済をするために小学校用地と道路用地を福岡市が購入しなければ銀行への返済が出来ず、福岡市が再び博多港開発へ貸付貸付するという事態が生じる。これを避けるために、何が何でも積水グループに住宅地を買ってもらい、住宅販売計画を出してもらう必要があった。住宅計画がなければ小中学校建設の理由がないからである。9月議会でも、教育委員会は住宅販売計画により、2007年には就学児童が出現するからだと答弁している。
しかし、この答弁も無理があることは明らかである。第1点は、2007年の住宅販売計画では620戸、就学児童の出現数は小学校188名、中学校68名としている。その根拠は愛宕浜の例で、小学校児童の出現率は0.3、中学生の出現率は0.11を根拠と答えている。しかし、これも不確かな数字である。これを認めたとしてもこの人数では小中学校を作ることは出来ない。そこでひねり出したのは小中一貫校で先進開発校にすという口実を作り、人工島外からも児童を受け入れ、500人規模の学校にするというのだ。多くの議がは、地域と学校等の関係をどうするのか、どうしてしないで出来ないのか、成果を市内の学校にどのように反映できるのかなど多くの問題が指摘した。
第2点は、住宅販売計画は計画であり実績ではない。都合がいい結果だけを予測しているが、住宅が計画通り売れる根拠は何もない。従来、就学児童が増え、必要性が出て検討し、分校するということで、小・中学校は建設してきた。土地もこれまでは土地開発公社が一旦購入し、必要な時期に学校を建設して、市が買い取っている。百歩譲っても、次年度に土地開発公社が先行取得するということはありても、補正で購入するということは考えられない。また、就学児童数も不明のなかで、2007年開校というむちゃくちゃなことは考えられない。港湾局長も博多港開発の16年予算には小中学校用地売却が予算化されていたと答えているように、ようは小中学校用地購入ありきであった。
次に、購入用地の単価は115,000円/㎡は高すぎるということについて、教育委員会は平成15年に博多港開発から市住宅供給公社が購入した価格113,900円/㎡を基本にしたと答えている。しかし、道路用地や公園用地は82,500円/㎡、積水ハウスグループへの売却価格は平均7万円/㎡、さらに積水ハウスグループに売却した住宅用地のうち隣接する戸建て住宅用地は3万円/㎡に比べるとあまりにも高すぎる。教育委員会は補正予算が決まった後に福岡市不動産価格評定委員会によって評価された範囲内で購入すると答えた。しかしなぜ、不動産価格評定委員会に評価の後に購入価格を決めなかったのか、説明はない。
福岡地所と積水グループに平均単価7万円/㎡で叩き売り、さらに住宅市街地整備総合支援事業という国の補助事業を適用させることで開発負担を軽減することで住宅開発を具体的に進めさせた。これでようやく住宅販売計画が出され、教育委員会は9月議会で補正予算として小中学校用地購入費を計上することが出来たのである。逆に言えば、小中学校用地購入は至上命令であり、そのために3月中には住宅用地を売り、住宅計画を出さなければ小中学校用地購入計画が出せない事情があり、積水グループに平均単価7万円/㎡という価格で売らざるを得ず、総額でならした7万円/㎡にするために小中学校用地に隣接する戸建て住宅部分の単価は3万円/㎡という異常な土地取引となった。さらに住宅建設を進めるために、国の補助事業である住宅整備支援総合事業を適用し、補助金を出すことにした。3月の時点では積水ハウスグループと市住宅供給公社との土地売買は売買契約ではなく協定書であったこと、実際の売買契約はが6月及び7月になったことはこの経緯を如実に示している。
なぜ小中一貫校なのか、この質問に教育委員長は、平成15年4月に策定された新計画で位置づけられ、4人の課長級のものを配置し準備してきたと答えている。しかし、多くの議員が第1委員会には報告がなかったこと、また教育委員会では議論されたのかという質問にも「逐次報告し、検討としてきた」と答えたが、いつどのように検討してきたか具体的に答えず本当に教育委員会で検討してきたのか疑問が残る。いずれにしても、準備不足で、先に土地購入ありきでしかないことが明らかである。
さらに直轄化についての質問をした。そもそも1月23日に博多港開発に第二工区の埋立免許伸長の許可しておきながら、わずか半年も経たないうちに市が博多港開発から埋立免許を買い取り、福岡市が直接埋立をすることを決めるとは、博多港開発は既に事業能力がないことを認めるものである。
2000年12月に銀行団に新計画を示した時点で、銀行団はこれまでの随意返済から約定返済に契約を変えるとともに、福岡市は博多港開発の土地をいつどこを買い取るか具体的に明示することで博多港開発への融資継続を銀行に認めてもたった。銀行団は短期融資しせず、博多港開発が資金繰りに行き詰まったときには福岡市が博多港開発に貸付、銀行への返済をさせることとした。福岡市は博多港開発への緊急貸付のために200億円の融資枠を設定した。福岡市は緊急貸付は起こらないと見ていたようであるが、地価下落により計画通りの収入が得られず、2003年度には5月に45億円、3月に42億円、計87億円を緊急貸付をした。市長自ら9月議会の答弁で述べたように、この時から借金に追われる自転車操業となった。
9月の質問でも、相変わらず博多港開発への埋立免許伸長はやむ得ない事情であり、最終的には黒字になと強弁している。そして、長期的安定的に事業をするために、直轄化が必要と答えている。その一方で、金融情勢が厳しく、短期貸付で約定返済であるので、直轄化することで、銀行団に融資条件見直しを求めると答えている。9月返済の融資についても、今年度ないに返済を延ばすように交渉すると答えた。要するに、銀行団はこの事業についてもはや信用しておらず、福岡市に肩代わりを求めているだけである。必要もない、緊急性もない小中学校建設を、無理矢理すすめなければ博多港開発は支払いが出来ない、この埋立事業は破綻している。
埋立免許買い取りに400億円、そのご事業をすすめるために300億円、さらに土地を整備するために数100億円は必要である。できあがった土地はどうなるのか、企業進出の計画は未だ見えておらず、最終的には公共施設、しかも必要もない施設を作ることにないかねない。市は臨海土地整備事業特別会計でするので、土地を売り最終的には採算はとれるといっている。しかし、特別会計と一般会計は繋がっており、特別会計が赤字になれば一般会計から繰り入れがなされるし、また市の各局が購入すればそれは一般会計から支出され、いずれにしても民間に計画の価格で計画の時期に売れない限り市民負担となる。仮に計画通り売れてもインフラ整備に税金が使われるし、また第1工区の状況や社会・経済状況から見て計画通り全て民間に売却出来るとは考えられない。
平成14年度時点では、博多港開発は銀行団へ784億円の借入残高があり、約定返済となっている現在では地価下落の中で福岡市が緊急貸付をしなければいけない状況が続いている。まさに自転車操業で借金が増え続ける状況にある。博多港開発には事業継続能力はもはやない。直轄化すれば返済時期は気にしなくてよく、仮に土地が売れなくても一般会計から返済することが出来る。福岡市が繰り返しいっているように「長期的に安定して事業が出来る」訳である。それは税金であり、市民負担によってなされるのだ。直轄化で免許買い取りに福岡市が400億円支払うことは、銀行団にとってこれ以上のリスクを回避するためには諸手をあげて歓迎だ。まさに福岡市も銀行団もともにモラルハザードに陥っているとしかいいようがない。ここまで泥沼化させた銀行の貸し手責任、事業の計画責任が問われないまま、すべてを市民に肩代わりさせる人工島博多港開発第二工区の福岡市による直轄化は許されるはずはない。
9月13日(月)
一般質問
1、緑化フェアについて
来年9月9日から11月20日までの73日間、緑化フェアが開催される。そもそも博多湾の自然を破壊して造られた人工島で緑化フェアを開催すること自体おかしい。しかし今回の緑化フェアは人工島の土地を宣伝するためであり、さらに問題である。
そこでまず、入場者対策について質問した。市は73日間で入場者100万人を計画しているが、他都市の緑化フェアを見ると過大な数字であり、よかトピアと同じように企業や町内会・自治かなど組織的にチケットを押しつける、また小中学校や高校を動員するなどのおそれがある。自民党パーティ券事件では、このような企業等への強制的割り当てが政・官・業の癒着の温床を造ってきたとして批判された。この反省から、強制的な割り当てをしないよう求めた。
また今回の開催費用は総額42億円、歳入は市の負担は28億7千万円、(財)全国都市緑化基金は1千万円、企業協賛金5億6千万円、入場料6億3千万円、その他諸収入1億3千万円となっている。歳出は会場整備費22億8千万円、出店展示費5億3千万円、会場運営費4億5千万円、両催事費4億円、広告宣伝費2億7千万円、総務費2億7千万円となっている。これから見ても、入場者が少ないかったり企業協賛金がすくないことが生じれば市の負担が増える。また、会場整備等に多額の費用が使われ、その多くは緑化フェア後撤去される。厳しい財政状況の中で、人工島の宣伝にこのような多額の費用を使うことの問題を指摘した。
2、地下鉄3号線沿線駅における駐輪場管理委託について
地下鉄3号線が来年2月開業となる。地下鉄沿線沿い駅の駐輪場管理委託について質問した。従来駐輪場の管理はシルバー人材センターに委託してきたが、今回指定管理者制度を導入して、入札にかけるとしている。シルバー人材センターは高齢者の生き甲斐づくりのために設立されており、しかも決して高くないというよりもかなりやすい費用で委託されている。
指定管理者制度は昨年地方自治法が改正され、これまで公共施設は地方自治体か自治体が出資する団体しか管理できなかったものを、指定管理者として議会の承認を得れば民間でも管理を委託できる仕組みとなった。経費削減が目的の制度であるが、入札をしなければいけないものでもなく、また自治法でも括的な入札は認められている。政策と指定管理者制度の整合性が求められており、市の考えを質した。私は基本的には駐輪場の委託管理は従前通りシルバー人材センターに委託してよいと考えている。他自治体では、入札によらず従来委託してきた社会福祉団体を福祉関連施設の指定管理者に指定している自治体もある。市は政策と指定管理者制度との整合性を図るという回答にとどまった。
指定管理者制度を全面的に否定しないが、政府のねらいは民営化・合理化にあり、自治体がどのような政策を持つのかが問われている。今後、この問題をもっと突き詰めていく必要があると考えている。
9月14日(火)
第4委員会
都市整備局所管の議案審査
9月補正予算に審査が行われた。主な補正は、九大移転関連費として(財)九州大学学術研究都市推進機構への補助金、香椎副都心土地区画整理事業推進費追加、西鉄効果事業の追加、都市公園事業の追加、緑地保全事業の追加であった。この中で問題となったのは、(財)九州大学学術研究都市推進機構への補助に関連して、全国の学術県境都市が失敗している中でこの事業を進めることの問題、国及び九大が機構へ出資していないこと、移転が5年延びたことの影響が問題となった。市は、移転の遅れについては、国が予定通りの資金を出さないため遅れており、九大としては先に土地の購入を進め、その後順次移転すること、また工学部の移転は予定通り来年には終わるので、学術研究都市構想には支障はないと答えた。しかし、全国的に見ても学術研究都市がうまくいっておらず、バブル期の計画をそのまま継続するのには無理がある。また、広島大学移転によって、移転先の東広島市は確かに活性化しているが、移転後の広島市は打撃を受けている。福岡市においても、九大移転後の箱崎地区をどうするのか、5年の移転延期の影響はどうなるのか課題が多い。 もう一点大きな問題は、今回の補正で都市公園事業の追加がなされたが、人工島の緑化フェアに併せて人工島中央公園整備費が13億円追加された。その一方で、市民が最も日常的に使う住区基幹公園4公園の整備費が3000万円削減された。人工島に重点的に予算配分をし、そのしわ寄せが市民になされていう実態が、公園整備においても明らかとなった。
9月15日(水)
建築局所管の議案審査
今回の補正予算は、人工島の住宅建設に対する国の補助事業である「住宅市街地整備整備総合支援事業」の積み増しであった。「住宅市街地整備総合支援事業」は、一定規模の住宅街を整備するにあたって、設計費や共同で使用する部分の補助、例えば集合住宅の廊下やエレベーター、公共空間に対して助成がなされる。補助率は市が1/3、国1/3、計2/3が助成される。
当初から住宅業者に土地を売るために人工島全体を「住宅市街地整備総合支援事業」の指定をしていたが、今回当初計画より81戸の分譲住宅が積み増された。これも小中学校用地取得の口実をつけるために出来るだけ早く住宅建設に取りかかるよう要請するためのものである。今年3月に積水ハウスグループに土地を売却することになっていたが、この時点では協定書であり、売買契約が交わされたのは積水グループが6月25日、九宅協住宅開発及び積水・福岡地所グループは7月25日であった。積水グループが6月25日に住宅販売計画を出しており、この動きを見ると、9月補正予算を組み小中学校用地を買う理由を作るために販売計画が必要であり、計画を立てさせるために補助事業を積みましたことがわかる。
今回教育委員会が補正予算として小中学校用地取得46億円の根拠とした平成19年に開校時の住宅入居戸数620戸は、この販売計画である。住宅が予定通り売れるのか、また就学児童がいる家庭がどれだけ購入するのか、全て不確定である。こんなことをしなければ博多港開発の借金返済がでいないということは、博多港開発は破綻しており、人工島事業も破綻していることを示している。委員会でもこの点を指摘した。
今回港湾局所管でも、「住宅市街地整備総合支援事業」として人工島の都市計画道用地購入費28億円が出された。これも当初から博多港開発の借金返済のために補正が組まれたものである。
9月16日(木)
議案採決
議案第161号一般会計補正予算案、議案第163号市債管理特別会計補正予算案については、共産党、社民・市政クラブ、福岡ネットワーク、私が反対したが、公明、民主などは人工島に小中学校を造ることに疑問を持っているにもかかわらず賛成し可決した。近い将来人口が減少し始め、児童数はさらに減ることは明らかであるにもかかわらず、どうして人工島に小中学校を造る必要があるのか、誰の目でも明らかである。しかし、人工島事業を進めるためには仕方がないという論理で、学校教育までゆがめることが本当に許されるのか。市民の怒りの声がいまこそ必要である。
反対討論
私は議案第161号一般会計補正予算案及び議案第163号市債管理特別会計補正予算案、議案第171号建物の取得及び議案第172号土地および建物の貸付について、以上4件の議案に反対し討論を行います。
今議会では人工島に小中一貫校を建設するとして、用地購入費及び建築設計費が補正予算案として上程されています。2004年度当初予算には組み込まれておらず、突如9月議会に補正予算として議案が出されたことについて、議案質疑においても多くの議員が子どもがいない人工島になぜいま小中一貫校を建設しなければいけないのか問題としました。まさに博多港開発救済のために小中学校用地取得が先にあり、小中一貫校はつじつま合わせの屁理屈でしかないことは明らかです。破綻が明らかな人工島事業を強引に進めるために形振り構わず何でもやる、こんなことを市民が納得するでしょうか。
そもそもこの用地取得は9月末日に期限が来る博多港開発が銀行団へ返済しなければいけない短期融資68億円の財源として、今議会に補正として計上されている人工島の道路用地購入28億円とともに計画されていました。9月に銀行団への返済をするために小学校用地と道路用地を福岡市が購入しなければ銀行への返済が出来ず、福岡市が再び博多港開発へ貸付するという事態が生じます。これを避けるために、何が何でも積水グループに住宅地を買ってもらい、住宅販売計画を出してもらう必要がありました。住宅計画がなければ小中学校建設の理由がないからです。議案質疑でも、教育委員会は住宅販売計画により、2007年には就学児童が出現するからだと強弁しています。
しかし、この答弁も無理があることは明らかであす。第1点は、2007年の住宅販売計画では620戸、就学児童の出現数は小学校188名、中学校68名としており、その根拠は愛宕浜の例で、小学校児童の出現率は0.3、中学生の出現率は0.11を根拠と答えています。しかし、これも不確かな数字です。仮にこれを認めたとしてもこの人数では小中学校を作ることは出来ません。そこでひねり出したのは小中一貫校で先進開発校にするという口実を作り、人工島外からも児童を受け入れ、500人規模の学校にするというのです。多くの議員が、地域と学校等の関係をどうするのか、どうして市内の既存校で出来ないのか、成果を市内の学校にどのように反映できるのかなど多くの問題が指摘しました。しかしこれにはこれから検討という回答にとどまり、いかに議論がなれていないかが浮き彫りとなっています。
第2点は、住宅販売計画は計画であり実績ではありません。都合がいい結果だけを予測していますが、住宅が計画通り売れる根拠は何もありません。従来、就学児童が増え、必要性が出て検討し、分校するということで、小・中学校を建設してきました。土地もこれまでは土地開発公社が一旦購入し、必要な時期に学校を建設して、市が買い取っています。百歩譲っても、次年度に土地開発公社が先行取得するということはありえても、補正で購入するということは考えられません。まして就学児童数も不明のなかで、2007年開校というむちゃくちゃなことは考えられません。港湾局長も博多港開発の16年予算には小中学校用地売却が予算化されていたと答えているように、ようは小中学校用地購入ありきでした。
次に、購入用地の単価は115,000円/㎡は高すぎるということについて、教育委員会は平成15年に博多港開発から市住宅供給公社が購入した価格113,900円/㎡を基本にしたと答えています。しかし、道路用地や公園用地は82,500円/㎡、積水ハウスグループへの売却価格は平均7万円/㎡、さらに積水ハウスグループに売却した住宅用地のうち隣接する戸建て住宅用地は3万円/㎡に比べるとあまりにも高すぎます。教育委員会は、補正予算が決まった後に福岡市不動産価格評定委員会によって評価された範囲内で購入すると答えましたが、なぜ、不動産評定委員会に評価の後に購入価格を決めなかったのでしょうか。当初から返済額をもとに購入計画が進められてきたからにほかなりません。
福岡地所と積水グループに平均単価7万円/㎡で叩き売り、さらに住宅市街地整備総合支援事業という国の補助事業を適用させることで開発負担を軽減することで住宅開発を具体的に進めさようとしています。これでようやく6月25日に住宅販売計画が出され、教育委員会は9月議会で補正予算として小中学校用地購入費を計上することが出来たのです。逆に言えば、小中学校用地購入は至上命令であり、そのために3月中には住宅用地を売り、9月議会前には住宅計画を出さなければ小中学校用地購入計画が出せない事情があり、積水グループに平均単価7万円/㎡という価格で売らざるを得ず、総額でならした7万円/㎡にするために小中学校用地に隣接する戸建て住宅部分の単価は3万円/㎡という異常な土地取引となっています。さらに住宅建設を進めるために、国の補助事業である住宅市市街地整備総合支援事業を適用し、販売戸数を増やすために9月補正予算で補助金を増額することとしました。3月の時点では積水ハウスグループと市住宅供給公社との土地売買は売買契約ではなく協定書であったこと、実際の売買契約はが6月及び7月になったことはこの経緯を如実に示しています。
なぜ小中一貫校なのか、この質問に教育委員長は、平成15年4月に策定された新計画で位置づけられ、4人の課長級のものを配置し準備してきたと答えています。しかし、多くの議員が第1委員会には報告がなかったこと、また教育委員会では議論されたのかという質問にも「逐次報告し、検討としてきた」と答えていますが、いつどのように検討してきたか具体的に答えず本当に教育委員会で検討してきたのか疑問が残ります。いずれにしても、準備不足で、先に土地購入ありきでしかないことが明らかです。
市民からは少人数学級の実施、図書館への司書の配置、障害児教育の充実、留守家庭事業の充実、児童館の設置など、差し迫った多くの要望が出されていますが、これらの市民の声には耳を傾けず、人工島事業に優先的に税金を投入することは認められるはずはありません。今回の補正予算において、公園事業でも、人工島の中央公園整備には補正予算をつけ、西南の杜公園など他の4公園の整備予算を削減しています。人工島宣伝のための緑化フェアに公園予算を集中させ、一般市民が日常的に使う頻度が高い公園にそのしわ寄せがきています。
国の借金は700兆円を超えました。地方の借金も200兆円を超え、特殊法人などの隠れ借金を含めると国民の借金はゆうに1000兆円を超えています。国も地方も破綻の瀬戸際にいるのです。福岡市においても、借金は2兆6850億円、財政調整に使える基金は1992年942億円をピークに減りつづけ、いまや67億円になっています。福岡市の中期財政見通しでは3年間で200億円の不足が見込まれ、福岡市は市政経営改革プランを立て財政再建をすすめています。国も地方もお金がないこのような中、破綻が明らかな人工島に税金をつぎ込み続けることは許されません。税金の使い方が間違っています。
しかし、いま福岡市は人工島博多港開発第2工区を直轄化し、さらに借金地獄に市民を引きずり込もうとしています。そもそも1月23日に博多港開発に第二工区の埋立免許伸長の許可しておきながら、わずか半年も経たないうちに市が博多港開発から埋立免許を買い取り、福岡市が直接埋立をすることを決めるとは、博多港開発は既に事業能力がないことを認めるものです。2000年12月に銀行団に新計画を示した時点で、銀行団はこれまでの随意返済から約定返済に契約を変えるとともに、福岡市は博多港開発の土地をいつどこを買い取るか具体的に明示することで博多港開発への融資継続を銀行に認させました。銀行団は短期融資しかせず、博多港開発が資金繰りに行き詰まったときには福岡市が博多港開発に貸付、銀行への返済をさせることとしました。そこで福岡市は博多港開発への緊急貸付のために200億円の融資枠を設定しました。地価下落により計画通りの収入が得られず、2003年度には5月に45億円、今年3月には42億円、計87億円を福岡市は博多港開発に緊急貸付をしました。市長自ら9月議会の答弁で述べたように、新計画を作ったその時から借金に追われる自転車操業となったのです。
今議会の質問でも、相変わらず博多港開発への埋立免許伸長はやむ得ない事情であり、最終的には事業は黒字になと強弁しています。そして、長期的安定的に事業をするために、直轄化が必要と答えるその一方で、金融情勢が厳しく、短期貸付で約定返済であるので、直轄化することで、銀行団に融資条件見直しを求めると答えています。9月返済の融資についても、今年度ないに返済を延ばすように交渉すると答えました。要するに、銀行団はこの事業についてもはや信用しておらず、福岡市に肩代わりを求めているだけです。必要もない、緊急性もない小中学校建設を無理矢理すすめなければ博多港開発は支払いが出来ない、この埋立事業はまさに破綻しています。
直轄化には埋立免許買い取りに400億円、そのご事業をすすめるために300億円、さらに土地を整備するために数100億円は必要です。できあがった土地はどうなるのか、企業進出の計画は未だ見えておらず、最終的には公共施設、しかも必要もない施設を作ることにないかねません。市は臨海土地整備事業特別会計で事業を進めるので、土地を売り最終的には採算はとれるといっています。しかし、特別会計と一般会計は繋がっており、特別会計が赤字になれば一般会計から繰り入れがなされるし、また市の各局が購入すればそれは一般会計から支出され、いずれにしても民間に計画の価格で計画の時期に売れない限り市民負担となります。仮に計画通り売れてもインフラ整備に税金が使われるし、また第1工区の状況や社会・経済状況から見て計画通り全て民間に売却出来るとは考えられません。
2002年度時点では、博多港開発は銀行団へ784億円の借入残高があり、約定返済となっている現在では地価下落の中で福岡市が緊急貸付をしなければいけない状況が続いています。まさに自転車操業で借金が増え続ける状況にあるのです。博多港開発には事業継続能力はもはやありません。直轄化すれば返済時期は気にしなくてよく、仮に土地が売れなくても一般会計から返済することが出来ます。福岡市が繰り返しいっているように「長期的に安定して事業が出来る」訳です。それは税金であり、市民負担によってなされるのです。直轄化で免許買い取りに福岡市が400億円支払うことは、銀行団にとってリスクを回避するためにはこれ以上のものはありません。まさに福岡市も銀行団もともにモラルハザードに陥っているとしかいいようがありません。ここまで泥沼化させた銀行の貸し手責任、事業の計画責任が問われないまま、すべてを市民に肩代わりさせる人工島博多港開発第二工区の福岡市による直轄化は許されるはずはありません。
よって、今回の一般会計補正予算における小中学校用地購入費及び設計費、道路用地の購入費、住宅市街地整備総合支援事業の補正予算は、破綻が明らかな人工島事業を延命させ、博多港開発第二工区を市の直轄事業につなぐものであり、市民をさらに借金地獄に引きずり込むもので、認めることは出来ません。破綻が明らかな人工島事業は直ちに中止し、責任の所在を明らかにするために博多港開発の清算を求めます。
次にサンパレスの購入と運営の民間委託化です。雇用能力開発機構が独立行政法人となったため、これまで福岡市に委託してきた事業を取りやめることになり、福岡市へ譲渡となったものです。福岡市はこれまでサンパレスを第2市民会館と位置づけ、財団法人勤労福祉センターを設立し、再委託をしてきました。このため、福岡市はホール事業及び財団法人勤労福祉センターの運営費の補助を行ってきました。しかし、この施設はホールと宿泊施設が併設されたものであり、かつ宿泊施設は規模が小さい上に市内のホテルとの競合の中で利用率は6割程度で低迷し、経営的には赤字を生み続けていました。ホールについてもアクロスなどと競合しています。
問題はサンパレスが建設されて25年経過し、最近大規模改修をしたものの、補修等の維持経費が今後もかかること、ホールについても市内には同様な施設がいくつもあり、宿泊施設を含めて本当に必要な施設なのか疑問を持たざるを得ません。今回福岡市が買い取り、民間にただ同然で貸し付けることは、今後将来に亘り財政負担になります。思い切って整理することも一つの選択ではなかったかと考えます。福岡市全体の都市経営を見直すチャンスではないかと考えます。
よってこの議案に反対します。