国土交通省港湾局にいってきました

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国土交通省港湾局管理課への申し入れ
日時 2004年7月27日

 国土交通省港湾局管理課にゆき、福岡市が現在人工島博多港開発第2工区を福岡市の直轄事業化する計画について中止を指導するよう求めました。対応して頂いたのは管理課の崎谷専門官、小田第2係長、係員の3名でした。
  私たちは今年1月23日に福岡市が博多港開発第二工区の埋立免許伸長を許可したことは公有水面埋立法の①埋立地の処分方法及び予定対価が適正であること、②埋立を遂行するに足りる資力及び信用があることという免許の許可条件に反していることを訴えました。1月23日に許可し、わずかの期間に許可した福岡市が直轄化するということ博多港開発の事業継続能力を否定することであり、1月23日に免許伸長を許可したことと矛盾し、おかしいと訴えました。専門官は、4月に新任できたので経過がわからなかったので、福岡市にも説明を求めたこと、自分たちも問題があると感じている答えています。しかし、一旦許可したことは違法性が明確でない限り覆せなし、地方分権推進一括法の成立で許可権者は福岡市であり、法定受託事務といっても国が簡単には口出しが出来にくくなっていると弁解をしています。あまり口を出すと地方分権推進委員会からたたかれるといっています。福岡市の直轄化については福岡市が決めることではあるが、国としても意見は言っていくと答えるにとどまりました。国が直接許認可に関与できないことが表明されましたが、人工島の現状について問題があるという認識があることが確認できました。
 世論の形成という点で、今回の訪問は一定の成果を得たと思います。同時に、改めて地方の自律が必要であることを感じました。福岡市議会の責任として、「人工島直轄化」について特別委員会を開催し、市民にキチンと議会としての責任を示す必要があると考えています。

以下、申し入れ文です。
 
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                              平成16年7月27日       
博多港開発㈱の埋立事業直轄化についての要望

 国土交通省
   港湾局 局長
   港湾局管理課 課長
                          福岡市議会議員 荒木龍昇
                          「人工島点検」を点検する会
                          事務局長 中尾武史
                          博多湾市民の会 代表 安東毅
                          博多湾会議 事務局長 脇義重

 山崎広太郎福岡市長は、6月9日、市が51%を出資し自らが社長を兼務する博多港開発㈱の決算発表を行い、その席で同社が50億円の赤字を出したこと、同社が埋立を進めている2工区の埋立権を福岡市に譲渡する考えであることを表明しました。新聞報道によれば、福岡市はこれまで同工区の埋立に要した費用約400億円で土地を博多港開発㈱より購入する考えであると伝えられます。私たちはこのような方法で人工島事業が続けられることに憤りを感じざるを得ません。

1.事業直轄化の問題点
 
 ひとつには、同社の埋め立て事業が破綻した責任が何も問われようとしないことです。「独立採算事業」との旗印を掲げてこれまで進めてきた事業が赤字に陥り、自ら事業を遂行することを放棄しようとすることは、「独立採算事業として破綻」したことを自ら認めたことに外なりません。であれば、いったん事業を中止してその責任を明らかにすることが先ず求められなければなりません。
 しかしながら、福岡市は市の直轄事業とすることにより、事業を継続しながら、これまでに投じられた費用の全額を土地の購入に費やそうとしています。これでは事業の破綻に対する責任が不問に付されるばかりか、巨額の事業破綻のつけを福岡市民がすべて負担させられることになってしまい、このような理不尽なことはない、と私たちは考えます。

 第二は、福岡市が埋め立て免許権者として法に定められた責務を全うしなかった点です。博多港開発㈱の2工区の埋め立て免許が本年1月23日に失効し、福岡市は免許権者として同社の埋め立て事業を厳格に審査する責任(第1号法定受託事務)があったにもかかわらず、その責任を放棄し、実現不可能な事業計画を承認して埋立免許の延長を許可したことです。
 この審査がいかに無責任であったかは、市が免許延長を許可した直後(2月)、市自身が作成した同社の事業計画が、免許申請に当って提出されたし計画とまったく別物であることを見ると明らかです。免許権者が、自らが審査し許可した計画書と大きく異なる内容の計画書をもって、今度は直轄事業とすることを国に申請するのはまったく筋の通らない話としか思えません。
 福岡市の「第1号法定受託事務」の受託者としての責任が問われなければ、国の地方への事務委託制度が危うくなりかねませんし、地方分権化の流れにも水をさしかねないと考えます。

2.このまま事業が継続されることへの不安と、私たちの展望
 
 私達が最も恐れるのは、このまま人工島事業の直轄化が認められると、これまでに投じられてきた巨額の負債を全て福岡市民が負担させられることのなるばかりか、このあと事業成功のため、という名目で次々に借入金返済のために税金が使われ、また「先行投資」のために税金が投入されることです。今の人工島事業に将来の展望がないことは、着工後19年を経てなお土地処分の見通しが立たないこと(この春にようやく10ヘクタール弱の用地の住宅開発業者への売却が決まりましたが、土地価格は計画値を5万円/m2も下回るものでした)を見ても明らかです。
 わたしたちはかねてより、事業をいったん中止して計画を根本的に見直すことを主張してきました。事業環境は着工当時と大きく変わっており、事業内容そのものを見直すことが不可欠だと考えます。埋め立てが進んだとはいえ、事業はまだ半ば、いまならば破壊された湿地環境の一部回復も含め、出直しは可能だと考えます。長期的な視野を持って、時間をかけて市民が英知を絞ることからしか事業の将来を開くことは出来ません。
 事業が独立採算事業として破綻している以上、直轄化はいずれは避けて通れない道であると私達も考えます。しかしそれは、福岡市が求めるようになし崩し的に直轄化するのではなく、事業をいったん中止して事業破綻の責任を明らかにし、今後の事業の進め方についての体制を作り上げることが前提条件だと考えます。

3.国土交通省への要望

 以上の認識に立ち、私たちは国土交通省に次の点を要望いたします。

 1) 事業を今のまま継続することを前提にしての、埋立事業直轄化を認めないでいた   だきたい。
 2) 博多港開発㈱2工区の埋立免許延長許可に対する責任を問うていただきたい。