人工島着工10年、いまこそ中止して見直しを!

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 人工島着工10年、人工島は既に完成のはずが未だ見通しは立たない状況です。人工島は当初から必要性がないことは明らかでした。海を埋め立て、博多湾の貴重な自然を破壊し、そこに数百億円を投じて自然を復元するいうのですからこの感覚は何でしょうか。私たちが指摘してきたように、人工島の末路は福岡市と市民を地獄に引きずり込もうとしています。自然環境を悪化させ、市財政を破綻に追い込み、ケヤキ庭石事件や計画課長の贈収賄事件、港湾局理事の賄賂要求など巨大公共事業を巡る政官業癒着の不正事件が続発しました。
 いま山崎市長は博多港開発第2工区を福岡市の直轄事業にしようとしています。当初税金は使わないといってきた博多港開発の埋立事業は、銀行でさえ融資を渋るようになり、福岡市は埋立地を買い取ることで埋立事業を支えてきました。福岡市は博多港開発から埋立地を買い取り、銀行の替わりに87億円もの貸付を行い、いまや全面的に税基金をつぎ込んでいます。しかし、埋立地の処分の見通しが立たない中で、最後の禁じ手である福岡市による直轄事業にするというのです。これは何を意味するのか。銀行は埋立事業から手を引き、その債権を市民負担に変えるというものです。つまり、税金によって埋め立てられ、銀行やその他の出資者の責任は一切消えてしまうことになるのです。銀行やマリコンは儲かるだけ儲けて食い逃げをする、その損害は全て市民負担です。こんなことを許していいんですか!
 埋立事業を中止して、責任の所在を明らかにする、博多港開発を会社精算し、それぞれが応分の席荷を負うことが、人工島の議論の前提です。いま、菜の花プロジェクトを人工島で実施するといています。なぜ人工島なのでしょうか。菜の花プロジェクトは減反した田んぼで実施することが本来の意味があるのです。人工島の破綻を隠すために「環境問題」を利用し、「市民参加」の運動を利用する市のあり方、また無批判に参加する市民の資質が問われます。キチンとした議論がいま求められているのです。破綻した人工島を何とか続ける田に42億円もかけた「花どんたく」、海フェスタ、菜の花プロジェクト、福岡市民のみなさんにその本質を理解して、「NO!」の声を上げて欲しいものです。

7月13日(火) 福岡市の中止の申し入れ

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2004年7月13日

福岡市長
 山崎広太郎様

博多湾市民の会 代表 安東 毅
                  博多湾会議 事務局長 脇 義重
                  「人工島点検」を点検する会 代表 荒木龍昇

着工10年、人工島に抗議しなし崩しの直轄化に反対する

 人工島が博多湾で着工されてから10年が経とうとしています。わたしたちは当初よりこの事業に反対してきました。私たちが心配していたことが現実のものとなり、人工島は自然環境を破壊し福岡市の財政を圧迫し、市の将来を暗いものにしています。

博多港開発受け持ち工区の破綻が明らかになりました。

 埋め立て主体のひとつ市の第3セクター博多港開発は造成土地販売の売れ行き不振から、収益金で造成費を賄うという当初の財務方針に行き詰まりを見せ始めました。博多港開発といえば、もともと計画になかったケヤキ・庭石を無理やり購入して会社に多額の損害を与えたとして志岐前社長が背任罪で告発され、最近逮捕された事件がありました。法外な代金の支払先が元市議会議員の関連会社であり、元議員の衆議員選挙資金に流れたと報道されました。公共性という隠れ蓑で経営実態が隠蔽され、市民が食い物にされる事件が発生したのです。

 行き詰まった会社経営が市民への背任事件を発生させたのですが、博多港開発は今、融資銀行から厳しい返済方法に変更されて福岡市から増資と緊急融資を受け、本来住宅付地所として整備すべき道路や公園用造成地を福岡市に購入させるなど経営破綻を公共事業化で免れようとする動きを見せ始めています。博多港開発は株主総会を開き2003年度決算が初めて50億円の赤字であることを公表しましたが、2工区の会社造成地と埋め立て権を福岡市に買わせる事業直轄化の方針を打ち出し、福岡市は400億円の市債を新たに発行してその購入代金を捻出する計画を立て、国土交通省(埋め立て免許変更)と総務省(市債発行許可)と交渉中です。

 博多港開発2工区が福岡市の直轄事業になれば総額900億円の埋め立て費用を市が全額負担することになれば博多港開発の債務をそのまま福岡市民一人ひとりが背負い込み、市財政を圧迫し生活関連予算が削減されます。事業破綻の責任が明確にされ融資元や株主に責任に応じた負担が求められることなく、なし崩し的に市の直轄事業に転換する計画を認めることはできません。

博多湾人工島事業全体が破綻しています。

 事業破綻しているのは、博多港開発の工区だけではありません。福岡市の工区で起債事業の機能施設整備事業については、博多港使用増加を見込んで使用料を引き下げたにも拘らず入港船数が伸びず結果として使用料収入での市債償還は困難となっており、また、コンテナヤードが不要となるR0-RO船の採用で整備事業の必要性がなくなりつつあるのが現状です。また、工場立地などの臨海土地整備事業については、土地購入希望企業がない状態が続いています。また海のままの工区もあり、国の岸壁工事の一部に至っては未だ予算化されていません。これらのことは人工島がいかに不急不要の事業であるかを示しています。

着工10年にあたり、改めて人工島に抗議し市長に次のことを求めます。

1)人工島事業をいったん中止すること。

2)博多港開発の破綻的経営実態を市民に説明し、責任を明確にすること。

3)博多港開発2工区工事を事業破綻の責任を問うことなく市の直轄とする計画を白 紙撤回すること。