5月臨時議会

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「みどりの会議・足立力也」のキャンペーンで九州各地を回っていたため、報告が遅れました。

04年度5月臨時議会(20日、21日)

 臨時議会は、①国民健康保険事業特別会計の補正予算、②老人保険医療特別会計の補正予算、③地方税法施行令改正にともなう条例改正の専決処分、④医療事故の一審判決を受けて控訴の専決処分の4件でした。補正予算を組まなくてはいけないために、臨時議会が開催されました。同時に各常任委員会、議会運営委員会などの委員長、副委員長の選任が行われました。

20日(木)
 議案第115号福岡市国民健康保険事業特別会計補正予算案と議案第116号老人保健医療特別会計補正予算案は、国の都合で本来負担すべきものを繰り延べたために、今年度予算で補正を組み平成15年度決算の不足分を充当するというものです。両議案とも同じような問題であるため、議案115号福岡市国民健康保険事業特別会計補正予算案について質問をしました。
 国民保険特別会計の決算は毎年赤字が続き、長引く不況で加入者は増加してきていること、その一方で保険料未納者は増加する状況になっています。これは景気はよくなっているといわれていますが、企業の合理化により企業の利益は上がっても失業者は減らない、賃金は低下する状況は変わらないと考えられます。高齢化など、国保の加入者は今後も増える一方で、支払いが出来ない人が増えていくと思われます。日本型会社社会が崩壊する中で、従来の社会保障は見直さなければいけない状況にあることを示しています。
 障害者支援費制度が始まりましたが、各地で国が所定の負担をしていないことが問題となっています。国は三位一体の改革(改悪)により地方への借金のつけ回しをしています。国は負担すべきものを引き延ばし、結果的には削減しようとしています。現在福岡市において「経営戦略プラン」を策定していますが、政策及び財源投入の重点が福祉や教育ではなく、相変わらず人工島など開発事業に重点が置かれているのは間違っています。
 そこで、国に対して地方への負担を増やすやり方を改めるよう求めるとともに、破綻が明らかな人工島などに税金を使うことをやめて、市民の負担を軽減するために国民保険事業への市の負担を増やすべきではないかと市長の所見を求めました。
 この質問について、助役は国は約束通り負担すると考えており、地方に負担を増やさないよう求めていく、国民健康保険事業にはこれまでも充分負担してきているとと答えています。しかし、福岡市の国民健康保険料は年々上がり続けており、人工島に使われるお金をどうして市民のために使わないのか、おかしな福岡市です。

21日(金)
 議案についての討論の後採決が行われました。議案4件の内議案第117号について反対しました。

反対討論

 議案第117号福岡市市条例の一部を改正する条例の専決処分について反対討論をします。
 この条例は地方税法施行令の改正にともない、市民税の非課税の範囲を引き下げるものです。福岡市においては、国民健康保険料の負担区分が応益部分が引き上げられ応能部分が引き下げられることで、低所得者の医療負担が高まっています。また、介護保険料の負担増、老人保険料の負担増と弱者に負担強化がなされています。市民税の課税限度引き下げは、さらに弱者への負担が高まることになり、この議案に反対します。
 いま国は「三位一体の改革」と称し、国の借金を地方につけ回しています。今議会の議案である国民健康保険事業特別会計及び老人保健医療特別会計における繰上充用金補正の主たる原因は、国の借金を地方につけ回すために、交付を遅らせたものです。支援費制度も既に破綻が見えており、国は所定の負担をしないため、各地の自治体は国の肩代わりを余儀なくされています。
 このような国の動きは、国の医療改革の破綻のつけと、バブル経済の政策的な誤りのツケを国民に押しつけるものです。特殊法人改革は竜頭蛇尾に終わり、相変わらず無駄な公共事業が続けられている一方、垂れ流される借金のツケは国民に回されています。「三位一体の改革」で交付金・補助金の削減と税源・権限の委譲を行うとしていますが、今回のように課税限度を引き下げることで税源移譲の一部にするとしたら許されるものではありません。
 世界の経済構造は大きく変わり、世界の工場は東南アジアから中国へと移り、日本の産業の空洞化はさらに加速されることになります。このことは日本型会社社会の崩壊をすすめ、失業者の増加と低賃金化が今後も進むと考えられます。少子化、高齢化、人口減少と相まって、日本の社会構造も大きく変化していきます。従来の社会保障のあり方が限界を迎えているのです。「三位一体の改革」はこのような社会構造の変化に対応せず、新自由主義のもと、国民に「自己責任」として負担を求めています。歯止めがない規制緩和とむき出しの競争社会を作り、本来行政が責任を持つべき福祉や医療、教育に市場原理を持ち込む、いまの国のあり方に、市民の生活を守る地方自治体として異議を申し立てるべきです。
 福岡市は市民が安心して暮らせる社会を実現するために、国に対して今回の非課税限度額の引き下げ見直しを求めることを求めて反対討論を終わります。