山崎市長は人工島を市の直轄事業にすることも検討と発表するかたわら、博多港開発は新事業計画を立てている。まさに迷走である。市長は2枚舌、3枚舌を使い、市民をだまそうとしている。1月23日に埋立免許継続の許可を受けた博多港開発の事業計画では、数字の帳尻合わせ押しているが、実際の処分価格は申請書類に記載された価格ではなく既に4万から5万円値引きした価格で交渉している。しかし、銀行団11行の内5行は融資継続を見直す動きが伝えられている。福岡市は、博多港開発へ昨年の5月に行った45億円の緊急融資に続きさらに40億円の緊急融資をすることで、平成16年度の融資を継続してもらえるように銀行団と話をつけようとしている。免許申請に出した収支計画は全くのウソであることは明らかだ。
そもそも2年前に銀行が事業を危ぶみ、福岡市に担保を要求し、約定返済に契約を変えたことに大きな転期がある。銀行はもはや事業継続に信頼していない。約定返済になったことで、期日までに融資の返済するために確実に土地処分する必要が出てきた。期日までに予定の価格で土地処分が出来なければたちまち資金繰りに行き詰まる。そのような事態になっても銀行は融資せず、福岡市に融資の肩代わりさせる200億円の緊急融資枠を創らせた。また、確実に土地処分が進むよう求められ、市が大規模公園用地や道路用地を購入することにした。
また住宅用地については、市住宅供給公社は知らないうちに返済計画に組み込まれ、融資返済期日を守るために福岡市に無理矢理土地を買わされた。このことは平成14年2月議会でも問題になった。そして照葉プロジェクトの破綻のために50億円ほどの巨額な損失を負わされた。住宅供給公社は福岡市につかまされたのである。この傷は決して小さくない。住宅供給公社の存亡に関わる。
住宅開発業者を12月の公募し、4社が応募したとされるが、本命は積水ハウスといわれている。積水ハウスとしても損する仕事はしない。大きなリスクを負う以上応分な価格を要求するし、市としても土地処分を進めなければ市民にいいわけは出来ないため言い値で売る。その結果超安値(1平方メートルあたり約7万円といわれている)で処分するしかなく、その損失補填に巨額の公費投入をすることになる。もはや破綻である。
国の借金は700兆円、国は交付税の削減・補助金の削減を進めている。市の借金も2町6千億円、起債制限比率は16.8%、市税収は減り続け、財政調整基金も平成4年度の942億円をピークに減り続けて平成14年度には229億円4分1になっており、後がない。財政の中期見通しでも、今後景気が回復するとした上でも毎年200億円を超える財源不足となる。このような中で、博多港開発第2工区を超過塚など出来るはずはない。 第2工区の埋立を福岡市の直轄事業にするためには、博多港開発にこれまで投入した事業費400億円を支払い、さらにその後の埋立費用が必要となる。この第2項の事業費は900億円といわれており、すべて税金で賄われることになる。山崎市長は起債すること出来るのだといっているが、これはすべて将来の世代の借金である。山崎市長は責任をとらない。こんな無責任な人が市長なのである。このままでは、市民は人工島と心中させられる。
これまでも見直すチャンスは2度もあった。1回目は市長は1期目の当選をしたときである。「大型プロジェクトは引き返す勇気を持って見直しをする」と公約したが、平成11年の見直しは庁内での見直しに終わり、従来通り事業を進めた。2度目は平成13年、銀行が計画の見直しを迫ったときである。博多港開発の融資の返済契約が随意返済から約定返済に変更し、福岡市に200億円の緊急融資枠を創らせ肩代わりをさせたときである。この2度の見直しを行うチャンスがあったにもかかわらず、抜本的見直しをせずに事業進めた結果の破綻である。山崎市長の責任は大きい。
埋立が始まった平成6年は既にバブル経済がはじけており、日本社会・経済は構造変化を始めていた。山崎市長が1期目の当選を果たした平成10年は、不況が深刻化し、産業構造・社会構造は変化していた。少子高齢化が進み、人口は増えても子どもは減っており住宅需要減少している。人口問題研究所の中期見通しでは2007年(平成19年)には日本の人口は減少に転ずるとしており、福岡市も10年ないし15年後には減少に転ずる。また、所得水準も低下し始めていること、企業も資産を持たない経営となっていることなど、土地需要がないことは構造の問題である。漠然と街が成熟すると地価の上がるということは誰も信じていない。福岡市だけが独りよがりで騒いでいるだけで、誰も見向きはしていない。銀行は取りはぐれさえなければお付き合いすると、福岡市に融資の肩代わりをさせているだけである。開発業者も損をしない限り付き合っているだけで、福岡市は損切りの連続で、税金をどぶに捨てている。それは市民の借金となっていく。
博多港開発は清算するしかない。福岡市も銀行も応分の責任をとる必要がある。特別調停により、負債をなくし、どうするか時間をかけて市民を含めた検討が必要である。人工島計画は直ちに中止すべき。市民を人工島と心中させないために。