和白干潟を国設鳥獣保護区に指定するための公聴会
日時 8月4日(月)14:00~15:00
場所 福ビル9階会議室
環境省から、和白干潟は国際的に重要な湿地であるとして指定地区や管理法方針等の説明があり、その後公述人が意見を述べた。指定地区は、人工島をはずし、海の中道海浜公園線から数メート離れた海域と雁ノ巣の砂州の一部および「海の広場」から唐の原側右岸までの塩生湿地である。公述人は福岡県(知事の代理として緑化推進課課長)、福岡市(市長代理として環境局長)、福岡市東部農協、猟友会、日本野鳥の会であった。
福岡県:和白干潟は県の鳥獣保護区に指定しており、国の鳥獣保護区に指定することには賛成である。ただし、野鳥による農業者への被害があり、管理方針に記載されているように国と関係自治体、農生産業者と懇談会を持ち、農業生産被害の対策をとって欲しい。また関係住民の理解を十分とって欲しい。
福岡市:福岡市は和白干潟は重要な湿地と考えており、浅海域を含めて保全をしている。今回の国指定には賛成であるが、農業生産の被害が出ており、国と関係自治体、農業生産者との懇談会を持ち、農業生産の被害に対処して欲しい。また、海岸部についてはエコパークゾーンとして整備をしており、整備に支障がないように配慮して欲しい。
東部農協:国師弟は反対ではないが、被害が出ており定期的に懇談会を持って被害の対策をして欲しい。また、農地の開発に支障がないようにして欲しい。
猟友会:国指定には異存はない。
日本野鳥の会:環境は大きく変り野鳥は激減している。野鳥の保護に力を入れて欲しい。和白干潟を特別鳥獣保護区にするように努力して欲しい。和白干潟だけではなく他の地域にも鳥獣保護区の指定を広げるように努力をして欲しい。
環境省:農業生産被害については指定区域は海域であるが、隣接する農地についての被害は関係自治体、農業生産者と懇談会を持って被害の対策をする。関係住民の理解が得られるように努力する。海岸部の整備に支障がないように配慮する。特別鳥獣保護区に指定することは今後の課題と考えている。他の地域に指定を拡大するために関係自治体、住民の理解が得られるよう努力していく。
国指定にあたり工区縦覧が6月26日から7月10日まで行われたが、意見が出されたのは5人13件であったと報告された。意見に対する回答を読み上げ、このあと会場から質問を受けた。
荒木:意見の中で環境省、関係自治体、地域住民、環境NGO、専門家による協議会の設置が求められているが、回答は農業生産被害対策の懇談会設置を答えている。環境庁時代に出された「環境影響事後評価に関する指針」ではラウンドテーブル方式を提言しており、後退ではないか。
山本:和白干潟には漁業権がなくなり、長年有明海の業者が貝やカニ類を乱獲している。市も県も法的に規制できないと言っているが、干潟を守るために人間の関与を規制すべきだ。
松本:国は人工島に野鳥公園完成後に鳥の利用状況を見てどうするか検討するとしているが、つくる段階から野鳥が利用できるように福岡市と協議すべき。また、和白干潟をどのように再生していくか国と市と協力してシンポジウムを開催してはどうか。
環境省:農業被害が火急の過大なので懇談会設置をしたが、ラウンドテーブル方式は今後進めたい。和白干潟での乱獲については資源保護という視点から、市や県と協力して規制していきたい。シンポジウムについては和白干潟を国指定にするという気運をさらに高めるために今後検討したい。
以上の質疑で公聴会は終了した。今回の国指定は地元農業生産者や福岡市との協議で1年遅れたが、被害の対策、農地の開発を妨げない、福岡市の開発を妨げないという条件で海域だけを指定するといい結果になったと思われる。環境省の限界が見えた。